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殺し屋だって歳を取る~映画「メモリー」 [映画時評]


殺し屋だって歳を取る~映画「メモリー」


 人間だれしも歳を取る。歳を取れば、アルツハイマーになるのもいる。殺し屋だって例外ではない。かつての腕利きが、記憶のほころびに悩まされる。彼が最後に取った行動は…。「メモリー」はそんな映画である。

 メキシコのある病院。アレックス・ルイス(リーアム・ニーソン)は、鮮やかな手口で犯行を終え、仲介者マウリシオ(リー・ボードマン)に連絡を取った。アルツハイマーの進行が気になり、稼業をやめたいと告げる。マウリシオは「俺たちの仕事に終わりはない」と受け入れず、家族をさりげなく話題にして間接的に脅しまでかけた。
 テキサス州エルパソ。FBIが人身売買組織の摘発のため、潜入捜査を行っていた。ヴィンセント・セラ(ガイ・ピアース)が買春客に成りすまし、13歳のベアトリス(ミア・サンチェス)に接触を図った。胸の盗聴器を発見され、捜査陣ともみ合いに。ベアトリスの父が窓から転落死した。人身売買組織の幹部だった。
 一方、アレックスがやむなく引き受けた次の仕事は人身売買組織がターゲット。まず組織のトップ、エリス・ヴァン・キャンプ(スコット・ウィリアムズ)を自宅で脅し、重要なメモリーを手に入れた後、絞殺。次の標的はベアトリスだった。組織の秘密を知っているのでは、と存在を危険視されていた。アレックスは、グループホームに収容された彼女を見て少女と気づき犯行をやめた。子供は狙わないのが彼の信条だった。
 奪ったメモリーの内容を確かめたアレックスは、重要人物の存在に気付く。事業家で篤志家のダヴァナ・シールマン(モニカ・ベルッチ)。エリスとの通話記録から、彼女と組織のつながりが明らかになった。

 アレックスはダヴァナ殺害に向かうが、銃に弾を入れ忘れて未遂。ヴィンセントら捜査陣にメモリーの所在を聞かれ、隠し場所の記憶を喪失。…と、アルツハイマーの進行が彼の安全を脅かした。結局、警官との銃撃戦で命を落とす。
 一方、ヴィンセントは同僚リンダ・アミステ(タジ・アトワル)に誘われバーで飲んでいる最中、ダヴァナ殺害を知る。「俺のアリバイを作った?」とつぶやくヴィンセント。犯行は、事件もみ消しを図った警察上層部に怒るもう一人のFBI捜査官ヒューゴ・マルケス(ハロルド・トーレス)だった…。
 観ての通りで、普通のアクションハードボイルドに、アルツハイマーによる記憶障害という今日的話題を組み合わせたところがみそ。「メモリー」が二通りの意味で使われていることは、賢明な諸氏には説明不要だろう。

 2022年、アメリカ。監督マーティン・キャンベル。


メモリー.jpg


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