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いま必要なのは政権交代だ~三酔人風流奇譚 [社会時評]

いま必要なのは政権交代だ~三酔人風流奇譚

 

◆原発をめぐる深い闇

A)関西電力の経営陣が、福井県高浜町の元助役(今年3月死亡)から3億円余り相当の金品を受け取っていたことが分かった。

B)国税当局の調査で発覚し、昨年夏に関電自身が調査したところ、社内の20人に渡っていたらしい。会長、社長が会見し、元助役の森山栄治氏が特異な個性の持ち主で、要するにすごまれて怖かったから返せなかったと子供の使いのようなことを言っていた。構図としては森山氏がもうこの世にいないので「死人に口なし」、森山氏にすべて罪を擦り付けようとしているように見える。

C)その後、関電の幹部が金品を受け取ったのは森山氏だけからではなく、原発関連工事を請け負った建設業者からもあったらしい。

B)元々の情報の出どころが関電自身の内部調査だから、自らの罪状はできるだけ小さく見せようとするだろう。外部の手が入れば、もっと話は大きくなるだろう。

A)そうなると、完全にこれは原発マネーの還流と受け取れる。贈収賄や特別背任罪の成立が濃厚では。

B)当初は、一方の当事者である森山氏が故人のため立件は難しそうとみられていたが、現存する業者が絡んでいれば追及の余地はある。

C)それにしても、国論を二分する、おそらく世論調査では過半数が反対するであろう原発をめぐってこれほどの闇を見せつけられては、原発政策を前に進めるのはもう無理だろう。

 

◆正義が正義でない時代

A)9月19日には東京地裁で、福島第一原発事故をめぐり東京電力トップの責任を問う裁判の判決があった。津波予見は困難だったと、3人に無罪判決が下った。

B)もともと15.7㍍の津波予測は出ており、東電内部でも検討されたがコスト面から対応策はとられなかった。カネがかかるからやめておこう、と判断したら直後に10㍍を超す津波が来たというわけだ。それなのに、そういう経営判断をした当事者は、なんら責任を問われなかった。

C)判決で、さらにおかしいのは「絶対的な安全確保を前提とすれば原発は稼働できない」としている点だ。「絶対的な安全」というのはあり得ないでしょ、といってきたのは原発に反対するグループの方で、いや原発に限っては絶対的な安全を守ります、といってきたのは原発を推進する側だった。判決は開き直りの論理で、それをいうなら原発やめましょう、となる。

A)「あいちトリエンナーレ」も奇妙な雲行きだ。愛知県知事が再開を目指すと言っているが、国が補助金を出さないと言い出した。

B)NHKのかんぽ報道をめぐっても、おかしなことが起きている。問題を取り上げた「クローズアップ現代+」に優勢側が抗議、NHK経営委員会がNHK会長に抗議したというものだ。おまけに郵政の副社長は元総務事務次官だった。現場そっちのけでパワーゲームが行われている。

C)いずれのケースも、目立つのは組織内の風通しの悪さだ。正しいことが正しいといえない雰囲気が見て取れる。最近、やたらと「ガバナンス」という言葉が飛び交うが、裏を返せばそれだけ組織が機能不全に陥っている。

A)最近、テコンドー協会が選手に総スカンを食って批判されているが、全く他人事とはいえない状況だ。似たようなもの、といっていい。

B)テコンドー協会に限らず、どこもが機能不全に陥っているようだ。

 

◆「日本病」だれが立て直す?

C)元号が平成から令和に変わり、平成の30年をそれなりに総括する試みが見られるが、ほとんどがこの30年を否定的に見ている。

A)吉見俊哉著「平成史」を読んだが、共鳴する部分が多かった。日本は明らかに空洞化し没落傾向にあるが、そのことをだれも声を大にして言わない。あるいは、そのことの認識がないのだろうか。経済指標を見ても、明らかに今の日本は30年前とは違う。違っていいのだが、ではそのことをきちんと認識して政治が行われ、民が暮らしているかといえば、違う気がする。日本の人口構成も、かつて人類が経験したことがないような異常な事態に直面しているが、あまり危機感がない。相変わらず、企業を優遇していればそのトリクルダウンが民のもとに届くという政策を取り続けている。それが幻想だととっくにばれているのにだ。

B)この30年を表すキーワードは失敗、漂流、空洞化、そして自己喪失だった。それらをひっくるめて「日本病」と呼んでもいいかもしれない。かつて「英国病」があった英国にはサッチャーがいたように、日本にも誰か新時代の政治家が現れなければならない。

C)それは小泉進次郎のような?

B)彼はとっくに馬脚を現した。あのクラスでは無理だろう。いま必要なのは、国のグランドデザインを変える力量と哲学を持った人間だ。人口構成にあった経済政策、地球が直面したエネルギー事情に見合う環境政策、そしてなにより、極東アジアにきちんとした足場を持てる国の針路図を描ける政治家。こうしたものが描ける政治家、政党がいなければ、日本は滅びるだろう。いつまでもトランプの「ポチ」で通用する時代ではない。

C)そういえば、北朝鮮がSLBMの大陸間弾道弾発射実験を行ったとき、日本海には自衛隊のイージス艦が1隻もいなかったという。アメリカ任せが招いた防衛の空洞化だ。

A)とりあえず必要なことは、安倍政権の現状を変えること。そのためには政権交代が必須条件だろう。安倍政治をそうざらえしてきちんと批判することから始めないと。

 


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参院選・吉本・京アニで思うこと~三酔人風流奇譚 [社会時評]

参院選・吉本・京アニで思うこと~三酔人風流奇譚

 

「投票に行こう」だけでいいのか

 

松太郎 最近の世相を映した三つの出来事は低調な参院選、吉本興業をめぐるドタバタ、それから、京都アニメーションで35人が亡くなった放火殺人事件、というところか。

竹次郎 参院選は投票率が50%を割り、史上ワースト2の48.8%。その中で自民、公明の与党勢力が過半数を維持。半面、改憲とみられた勢力が3分の2を割った。これが世相を映しているかどうか…。むしろ、世間の関心を呼ばない、世相を映していないからこその問題という気がする。

梅三郎 でも、立候補者の顔ぶれや政党を見ると、とてもどこかに入れようという気にはならない。メディアは盛んに「投票に行こう」とアピールしていたが、入れたいと思う対象がないのに、わざわざ投票所に足を向けないだろう。

松 注目されたのは山本太郎のれいわ新選組。旗揚げ3カ月余りで、党で200万票余、山本個人も99万票を集めた。このあたりに、政治の閉そく状況を突破するカギがありそうだ。

竹 朝日新聞だったか、保守と革新のイメージを世論調査で問うたところ、若者層では保守とは公明、共産、革新は維新、という結果だった。共産や立憲民主を革新、自民を保守と見る高齢者層とは全く違っていた。政治の変革を考える糸口がありそうだ。

松 参院選で1819歳の投票率は30%を少し上回るぐらいで、3人に2人は投票に行っていない。しらけているのがよくわかる。その中で、行き場のない票がれいわ新選組に流れた。

梅 れいわ新選組が、新しくできた比例特定枠を使って重度障碍者を国会に送りこんだのも、新鮮な手法だ。頭や口先だけでなく、ALS患者や脳性麻痺患者の置かれた立場を国会は否応なく考えなくてはならなくなった。
竹 公明が前回の参院選より比例で100万票減らしたことも転機を象徴する出来事。ただ、低投票率のおかげで議席は過去最高タイの14議席だったが。

松 こうなってしまうと、中途半端に「投票に行こう」ではなくて、「投票に行くな」という運動があってもいい。一度落ちるところまで落ちないと政治は変わらない。

梅 気持ちはわかるが、その時には民主主義とは何だろう、ということも併せて考える必要がある。

 

権力への風刺こそお笑いの原点では

 

竹 吉本興業をめぐる問題は、もともとタレントが反社会勢力からカネをもらっていて、そのことを隠していた、というところから出発した。それが吉本の経営体質や前近代的なタレント操作術への批判になった。

梅 おそらく、そうしたトラブルは昔からあったのだろうが、今はSNSがあるから、すべて世間に筒向けになった。

松 この話はワイドショーや情報番組でさんざんやっているからあまり繰り返したくないが、気になるのは、社長会見でも強調していた「うちの会社はファミリーだ」といういい方。ある集団が家族主義だのファミリーだのというとろくなことがない。不満があるときにそれを覆い隠す、フタの役割として「家族主義」というのは機能する。危機に陥ったときに集団や組織が保護する役割を担うのかもしれないが、それは1割。あとの9割は弱者を集団に従属させるための方便だ。

竹 ダウンタウンの松本人志が吉本の大崎洋会長、岡本昭彦社長と会談したとたん、社長が会見して宮迫博之、田村亮への処分撤回と見直しを発表するに至った。反社会勢力からカネをもらい、一時それを隠していたことの責任を会社も含めどうとるかの整理はなされないままだ。会長、社長はダウンタウンの元マネジャーで、松本との関係が深いとされている。この辺の事態の動き方を見ると、吉本という会社は3人の権力トライアングルで成り立っているのかという闇の部分を感じさせる。

梅 松本批判をしたために干された、というタレントの話もいくつか出ている。例えばオリエンタルラジオ。彼らも突然テレビから消えた。

竹 「ファミリー」発言は、戦前、戦時中の家父長主義を引きずっていると思えばいい。テレビで「伝説のマネジャー」と称する人物が出てきて、売れてない芸人からは9割かそれ以上を事務所が取り、大御所と呼ばれる芸人は2、3割が事務所へ行く、というのを当然のように言っていたが、やはりそれはおかしい。世間の常識では、それは搾取だ。

梅 そうしたことを許す温床として口頭契約があるのではないか。スケールメリットという考えがおそらく事務所にはあって、それで6000人も抱えているのだろうが、やはりそれはおかしい。それを許すのは、一発当たれば儲けものという芸人稼業のギャンブル性にあるのだろうが。いずれにしてもいい風潮とはいえない。

松 吉本は2025年の大阪万博など多くの行政案件を手掛けるようになった。これには疑問を持たざるを得ない。反社会勢力とのつながりが疑われることや、経営陣がパワハラ発言をしていること、下層芸人への搾取疑惑などももちろんだが、もともとお笑いの芸人を抱えてやっている会社が政治権力と結びつくのがどうなのか。皮肉と笑いで権力者を風刺してこその会社であるはずなのに。

梅 以前、安倍晋三首相が吉本新喜劇に出てきて非常に違和感があったが、そこにも通じるような気がする。風刺こそお笑いの原点だろうに。

 

「孤独な復讐」をなくすには

 

竹 京アニの事件は悲惨だった。放火が疑われている男(7月28日現在、重篤のため未逮捕)の人生も、週刊誌などで少しずつ出てきているが、やはり悲惨だ。だからといってやったことが許されるわけではないが。父親が再婚で3人の子を設けたが母親が家を出ていき、数年後に父が自殺して子供たちは離散状態となったらしい。

梅 犯行の状況を見ていると、まるで自爆テロだ。最近、よく起きている大量殺傷事件をみると、いずれも憎悪の対象をある種の集団に見つけ出し、そこに攻撃を仕掛ける。

松 5月末にあった登戸のスクールバス襲撃もそうした傾向だった。通り魔殺人だが、記憶に新しいのは秋葉原の事件。2008年に25歳の男が17人を殺傷した。「だれでもよかった」という供述が、その後の事件でも見られた。

松 「だれでもいい」とは、個人ではなく社会全体、または社会のある層を攻撃の対象にしている、ということ。京アニの事件では、アニメーション製作という仕事を見つけ、そこに情熱を注ぐ自分と同世代の人間がいることに腹立たしさを覚えたのではないか。もちろん、本人に聞いてみないとわからないが。秋葉原ではある種の先端文化に夢中になっている人々にテロを仕掛けたし、登戸では、自分の行けなかった学校に毎日スクールバスで通う児童たちに憎悪の目を向けた、というのは十分考えられる。

竹 仕事がない、引きこもりなどの理由で社会の外側にいると、見えてくるものがあるのでは。その時、他人には容易に入り込めるが自分は立ち入れないという現実を突きつけられて孤独な復讐を企てる人たちは必ずいる。その人たちが個人への復讐でなく、社会の壁に対して暴力的に突破を図る、ということはあるだろう。それは結局、社会システムの問題であり、政治の問題になる。

梅 先日、ある情報番組でキャスターが参院選の結果より吉本興業の問題が優先される報道の在り方はおかしい、と疑問を呈していたが、これはおかしいと思う。吉本の芸人も政治家も基本の部分でやっていることは一緒で、大衆の心をどうつかむか、だ。大衆の心をつかめない政治はこの体たらく、それより少し大衆の心に近い芸人の世界の話が情報番組を賑わしている、というだけのこと。

松 大衆の心をつかむことだけが政治家の仕事ではない。それだったらポピュリズムになってしまう。

梅 もちろんそうだ。ベースは一緒というだけで、その上の枝葉はもちろん違っている。だからこそ政治家と芸人は違う。

松 なるほど。


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天皇の代替わり騒動をどう見るか~三酔人風流奇譚 [社会時評]

天皇の代替わり騒動をどう見るか~三酔人風流奇譚

 

「天皇」というバーチャルな存在

松太郎)ふう。5月4日の一般参賀をもって一連の天皇代替わり騒動はひとまず落ち着くのだろうか。

竹次郎)4月1日の新元号発表から数えれば、1カ月余の騒動だった。

梅三郎)いったい、何だったのだろう。

松)年月日という時間の概念があり、さらにそこに世界共通の西暦というものがあるのだからわざわざ「元号」などという屋上屋を設ける必要はない。

竹)明治から昭和にかけては欽定憲法があり、天皇が統帥権を持った時代だったので、元号が一定の重さを持ったという事実はある。しかし、象徴天皇制になって平成に入ると元号は一気に軽くなった。

梅)例えば、昭和の時代の史実は昭和年で覚えていることがよくある。日米開戦の日、あるいは敗戦の日などは代表例だ。それらは、天皇制の負の部分を表す史実だから。平成に起きたことで、平成年で覚えていることはほぼない。

松)それなのに世の中は「新しい時代が始まった」などと浮かれる。

竹)天皇は、憲法で書かれているとおり象徴的存在、つまり抽象的な存在なのだから、新時代と旧時代を分けるような力もないし、そういう存在であってはならない。

松)元号に関しては、若い層の浮かれぶりが目立つ。

梅)天皇制の負の部分を知らないこともあると思う。今の天皇は、いわばバーチャルな存在であって実体を持たない。ある程度以上の年齢層だとそこでバーチャルとリアルを区別しないと気が済まないが、若い層はバーチャルとリアルが入り乱れることに抵抗がないのでは。それが、天皇制への無頓着な反応にもあらわれている。

竹)ネット社会で鍛えられているから。

梅)天皇? 夢があっていいんじゃない? みたいなノリだ。

松)それでいいのかねえ。三上太一郎「日本の近代とは何であったか」で天皇が神格化されたのは明治以降の近代であって、国民国家建設に不可欠な官僚制を整備するための精神的なバックボーンとしての「神」の存在が求められたからだ、と説く。欧米にはキリスト教という公共社会の精神的バックボーンがあったが、日本にはそれに類似するものがなかったので、無理やり天皇を「神」に祭り上げた、という。そのために国民は「現人神」の名のもとに徴兵され、突撃させられた。そういう歴史は無視できない。

 

底抜けメディアの「同調圧力」

竹)それにしても、この間のメディアの底抜けぶりはひどかった。

松)憲法記念日の5月3日、テレビキャスターの金平茂紀さんが広島市内で講演した。「崖っぷちの民主主義 改元・三権分立・沖縄・マスメディア」と題して。やはり、改元問題の垂れ流し的な報道ぶりに違和感を持っていた。ただ、金平さん自身そのメディアの内側にいる身なので忸怩たる思いもあるようで、「私は少数派」と言っていた。事前の宣伝では「抗(あらが)うニュースキャスター」と紹介されていたが、いまどきこんな形容詞がつけられるのは、この人ぐらいだ。

  

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竹)骨のありそうなキャスターが一斉にやめていった(やめさせられた?)時期があったから。その結果が、今のメディアの惨状だ。

梅)ネットを見ていると5月1日、東京で天皇制に反対するデモがあったらしいが、新聞、テレビとも報じなかった。広島市内でも4月29日に小規模だが天皇制に異議を唱える集会が開かれた。新聞、テレビとも全く報じなかった。

松)少数でも、こうした声があることはきちんと報じるのがメディアの役割ではないか。それなのに、テレビは「列島はお祝い一色」と連呼する。そうすれば、天皇制や元号に違和感を持ったり、批判的な考えを持ったりする人たちの口を封じることにつながる。いわゆる「同調圧力」だ。かつて、戦争を止められなかった一つの要因として批判されてきたこと。同じことを今のメディアはしている。

竹)そこまで行かなくても、今回の代替わりは、天皇自身が高齢で務めを果たせなくなったことと皇室全体の高齢化が要因としてあった。それなら、天皇制を廃止するというのも一つの選択肢として考えられるべきだ。そうした選択肢を残していくためにも、天皇制廃止を求める声があることは、事実としてどこかに残しておくべきだろう。たとえ少数であっても。

 

ユデガエル状態の国民意識

梅)元号が変わることで時代が変わるわけでもなく、文字通りバーチャルな世界で代替わりが行われたが、世の中ではこれに合わせて時代の回顧が行われた。そして「平成は戦争もなくいい時代だった」という感慨があちこちで示された。

松)本当にそうだろうか。世界で戦禍は収まってはいない。アフガン、イラク、シリア、南米ベネズエラ…。ヨーロッパは極右勢力の台頭で揺れている。

竹)「平成」という時代があったとすれば、それは米ソ冷戦が終結した後の30年だった。そこで日本はポスト冷戦の時代へ向けた針路を示すことはできなかった。それが沖縄問題の混迷を招き、北東アジアでの存在感のなさにもつながっている。一方で少子高齢化は進んだが、それに見合う経済システムを作ることもできなかった。30年を回顧すれば「漂流の時代」としか呼べない。

梅)北方領土問題も、一時の勢いはなく宙づり状態だ。そう考えると、平成は平和でいい時代だったというのは一国平和主義、もしくはユデガエル状態の国民意識を表している。

松)よく言われることだが、一人当たりGDPは、30年前は世界一だったが今は20位以下。これは、もう一度世界一に戻すべきだという議論ではなく、少子高齢化社会に合わせた違う経済システムや経済意識を求めるべきだ、と考えたほうがいい。それがなされないから、日本は漂流している。

竹)いつまでも成長戦略一辺倒ではないはずだ。

梅)それではこの辺で。きょうも明るい話にはなりませんでしたね。


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「新元号」という名のカラ騒ぎ~社会時評 [社会時評]

「新元号」という名のカラ騒ぎ~社会時評

 

 マスコミの過熱ぶり

 新元号「令和」が決まった4月1日、日本列島は異様な熱気に包まれた。テレビは「発表まであと○時間○分○秒」とテロップを流し(菅義偉官房長官の会見自体が11分遅れたため、全く意味はなかったが)、新聞各紙が配った号外にはアリのように人が群がった。

 翌2日の朝刊各紙も、当然のように1面の横幅いっぱいを使ってこのニュースを報じた。礼賛の記事でほぼ埋められ、批判的な視点のコメントを発していたのは内田樹氏(思想家)と高村薫さん(作家)ぐらいだった。内田氏は朝日、毎日で(天皇主義者なので元号自体への批判はなく)、官邸による政治ショー化に焦点を当てていた。毎日の高村さんがより辛辣だった。新元号が万葉集に由来する理由が情緒的である、「令和」という組み合わせが、国民を律して和を図る、といった意味に取れて違和感を覚える、とした。

 テレビ各局も前日に続いて「新元号決定の内幕」をかなりの時間報じた。礼賛のコメントがあふれる中、テレビ朝日「モーニングショー」で本郷和人・東京大史料編纂所教授の辛口コメントが目立った。

 洪水のように情報が流される中で、目についた批判的な視点はこれぐらいだった。

 

 「新元号」をどう見るか

 本郷教授や高村さんが指摘するように、使われた「令」は、「よい」という意味より命令するという意味合いが強い。そのあたりを、2日付朝日の3面が伝えている。令の上半分、人の下に横棒は人を集めるの意。その下は人がひざまずいた形を表している。つまり、人を集め指示を出す光景を意味している。この行為が整然と行われることを指して「よい」とか「好ましい」の意味が派生している。どちらの意味も支配者目線である。これに、和やかという言葉をつければどうなるか。整然と支配が行われ民は和やかである、という意味になる。まさしく安倍晋三政権の体質をあらわしているといえよう。

 普通に見れば、以上のような受け止めが自然に思われる。しかし、こうした指摘は一部を除いてほとんどなかった。

 

 官邸による政治ショー化

 新元号を決めるにあたって安倍官邸は徹底的な情報統制を行った。事前の審議過程で漏れないよう緘口令を敷き、最終局面では携帯が使えないよう妨害電波まで流したとされる。なぜそこまでする必要があったのだろう。新元号が事前に漏れたぐらいでなんの不利益が生じるのか。考えられるのは、徹底的な情報統制をすることで決定過程を厳粛に見せることと、そのことで官邸の存在感を高めることぐらいだ。計算どおり、この政治ショーはマスコミの注目を浴びた。これは、内田氏の言うとおりである。

 官房長官会見に続いて安倍首相会見があった。そこでは「悠久の歴史と誇り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄をしっかりと次の世代へと引き継いでいく」ことが強調された。格差と貧困にあえぐ日本の現状には目をふさぎ、万葉の美意識にたって悠久の日本を訴える。まるで戦中の日本浪漫派・保田與重郎の再来であった(もっとも、引用文が中国古典の「写し」であることが明らかになったが)。あるいは「現代版教育勅語」のようであった。果たして一国の行政の長がここまでやる必要があるのか。しかし、こうした危うさを指摘する声はどこにもなかった。

 

 皇民化・臣民化

 たかだか、元号ぐらいのことでなぜ日本列島は沸き立ったのか。そこに一種のアイデンティティーを求めたからではないか。テレビのコメンテーターは感極まって「歴史の変わり目に立ち会った」と述べた。しかし、間違ってはいけない。天皇制があるから元号は存在する。元号が変わることで味わう一体感とはあくまで皇民、臣民としての一体感であり、国民の一体感ではない。

 韓国の国会議長が慰安婦問題で「天皇謝罪」を求めたところ、官房長官は「無礼だ」と切り捨てた。そうだろうか。天皇はあくまで日本の天皇であってアジアの天皇ではない。韓国から見れば、官房長官の発言は、かつての植民地時代にあった日本の政治システムと価値観の押し付けと同じとしか見えないのではないか。

 新元号をめぐる日本列島のカラ騒ぎ、かつて天皇の軍隊によって侵略された経験を持つアジア各国にはどう映るのか。その報道はまだない。

 

 そうじていうなら、天皇の代替わりに乗じた安倍政権の政治ショー化と、それを無批判に報道するマスコミの無能さが目立った。それがこの2日間である。あるいは、「時の支配者」として安倍首相が現れ、それをマスコミ、大衆がこぞって礼賛するという構図にも見える。同時に、今回の騒ぎでは若者層の「没頭ぶり」が目立った。60歳代以上には天皇制の持つ負の側面が多少なりとも見えている。しかし、若い層になればなるほど、そこは見えていない。かつて戦争に至った過程を見ると、天皇自身の問題というより(天皇は無答責であり権力のブラックホールである)、それを取り巻く国民意識にこそ問題があるように思う。そのことはきちんと指摘されなければならないのではないか。

 


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それでもあなたは安倍政権?~社会時評 [社会時評]

それでもあなたは安倍政権?~社会時評

 

 民主党政権は悪夢?

A 2月10日の自民党大会で安倍晋三首相(党総裁)が、民主党政権時代を「悪夢」と語り「あの時代に戻させてはいけない」としたことで、民主党政権の幹部だった岡田克也衆院議員が12日の予算委で「取り消しなさい」と要求、首相は「取り消さない」と答えた。

B 子供のケンカのようなやり取りだが、直後に岡田氏が語っているように「ちっちゃな首相」という印象だけが残った。6日夜には首相公邸で、石破派を除く党内6会派の事務総長らが極秘で会合を開いたというし…。子供がよくやる「仲間はずれ」というやつだ。

C 6日の会合は昨年の総裁選の祝勝会らしい。

B それにしても、とっくに総裁選はすんだのだから。石破派もいれて再スターとか、やりようはあるだろう。そうすれば秘密裏にやることもなかった。

A やはり、今の政治は狭量といわざるを得ない。そういえば、会見での東京新聞記者の質問攻めに菅義偉官房長官が不快感を示し、内閣記者会に「事実に基づかない質問はやめろ」と申し入れたらしい。

B 事実に基づかない報道ならともかく、事実に基づかない質問をするなとは…。事実かどうかを確かめるのが質問だろう。安倍政権全体がもはや狭量で不寛容といわざるを得ない。こんな人たちが日本のかじ取りをしていると思うと、恐怖感さえ覚える。

 

 五輪担当相の配慮欠く発言

A 12日には、来年の東京五輪で活躍が期待された池江璃花子選手が白血病であることを明らかにして、列島に衝撃が走った。あろうことか、この事態に桜田義孝五輪担当相は「がっかりした」と発言。13日の衆院予算委で野党の追及を受け、発言撤回に追い込まれた。18歳の女性が人生の新しいステージに立った、そのことを一人の大人として見守り、応援するとなぜ思い至らないのか。こんな人を大臣に据える安倍政権の緊張感のなさ…。

C テレビの報道などを見ていると、白血病治療もここ2030年で随分前進したようだ。そうした医学の進歩に立ち、池江さんがこの先、元気な姿を見せれば、国民は安堵し喜ぶだろう。それを思えば東京五輪など小さなことだ。

 

 厚労省の統計不正

A 統計不正問題で厚労省に激震が走っている。

B 毎月勤労統計の東京都内分が全数調査と法律で定められているのに抽出調査をしていた。そのほかにも、訪問調査をすべきなのに郵送にしていたとか、問題が明るみに出ている。不正を明らかにする調査も、外部がやるべきところを内部の職員で済ましていたとか、事後の対応も問題が指摘された。

C 厚労省自体の仕事が増えすぎて担当する職員の対応が追い付いていないようにも見える。言われているように、日本社会は高齢化が進んで経済成長型から福祉型社会へと変貌している。しかし、行政がそうしたトレンドに合うように転換しきれていない。毎年の予算を見れば分かるが、厚労省関係は30兆円を超している。全体の3分の1だ。しかも、そのほとんどは年金、医療関係。高齢化社会を象徴している。

B そうした中で、職員は増えるどころか減らされている。それが、この統計不正にも表れているとみるべきだ。

C もう一つの背景として安倍政権の官邸一極集中もある。かつては霞が関を動かすのは官邸と自民党本部だったが、今や官邸に集中している。官僚たちも、官邸さえ見ていればいいという時代になった。勢い、官邸への忖度ばかりが働き、自民党本部の政調のグリップがきかなくなった。

 

 外交の安倍?

A 「外交の安倍」という言葉を聞くが、本当にそうか。

B 政権にいる人たちだけが言っているのではないか。

C そう思う。今月下旬にはベトナムで米朝首脳会談が開かれる。韓国の文在寅大統領も呼ばれて朝鮮戦争終結が宣言されるとの観測もあるが、この朝鮮半島「雪解け」の潮流の中で日本は完全に蚊帳の外だ。

B 日本は米国の「ポチ」だから、米国さえ相手にしていればいいと、北朝鮮も韓国も思っているのでは。

C 韓国の国会議長が、天皇が慰安婦に直接謝罪すれば慰安婦問題は解決する、と発言。安倍首相は「甚だしく不適切」と反発した。

B 慰安婦問題や強制連行問題がいまだに尾を引いているのは、植民地時代を日本がきちんと総括していないからだ。韓国要人の一連の発言は、結局そこに行きつく。そこにけじめをつけなければ韓国の批判は収まらず、結局は日本軽視につながるだろう。

A 日露首脳会談の直前に「2島返還で決着へ」の記事が一斉に出たが、あれは何だったのだろう。第一、あの記事のソースはどこだったのか。

B 官邸か外務省の高官あたりが、世論の動向を探ったのだろう。しかし、ロシアの対応がその上を行った。

C ロシアのラブロフ外相は第2次大戦の結果を認めるのが前提、といっている。日本政府は固有の領土だの不法占拠だのというが、ロシアにすれば馬耳東風だ。ヤルタの密約によって不可侵条約を破棄し参戦した。そして約束通り領土を手に入れた。パワーポリティックこそ正義、といいたいだろう。

B それに対して、なんと安倍外交のひ弱なことか。プーチンとの「友情」などひとたまりもない。

 

 それでも安倍政権?

A 今夏には参院選がある。ひ弱な外交、統計不正で根拠が揺らぐアベノミクス、官僚を掌握しきれない官邸、いまだ解決しないモリカケ問題、とマイナス要因ばかりだが、それでも国民は安倍政権を選ぶのか。

B 小選挙区の問題が大きい。なんとかならないか。

C とにかく、死に票が多すぎる。無効とされた大量の意思の上に安倍政権が成り立っている。これを打開する道は、何が何でも野党を結束させることだ。

B それには、共産党というネックがある。今の時代、共産主義社会を目指すというのは違う。少なくとも、世論の支持を得る思想ではない。ここと組むというのは、抵抗があるのも仕方がない。

C 逆に、自民党を分裂させるというのはどうか。かつて「剛腕」といわれた小沢一郎のような存在は出てこないか。

B 本当は、その方が手っ取り早いのだが。しかし、自民党自体が政権を担うことの「味」を求めて集まった人たちばかりだ。民主党で大臣まで務め二階派入りした細野豪志衆院議員の言っていることを聞いてもよくわかる。所詮は与党でなければ妙味はない。よほどの緊張感がない限り、自民党を割るのはむつかしいだろう。

A 今夏ダブル選の予想さえある。その末に安倍自民党が大勝でもすれば、いよいよ日本の政治は危うい。



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貴乃花は西郷隆盛か~社会時評 [社会時評]

貴乃花は西郷隆盛か~社会時評

 

内部告発の権利さえ無視する相撲協会

A)貴乃花が突然、各界から引退した。なぜこういう事態になったか、例によって貴乃花、相撲協会の主張がまったく違っている。貴乃花は、日馬富士暴行事件での協会の対応をめぐって内閣府に出した告発状が事実無根だったと認めるよう協会から圧力があったと主張、のめないので引退を選んだと。背景には7月の理事会で各部屋は必ず一門に入るよう申し合わせがあり、告発状の否定は一門に入るための交換条件だったとも主張している。

B)相撲協会は貴乃花の主張を全面否定した。告発状を否定するよう圧力もかけていないし、一門に入らない部屋の扱いは今後、理事会で協議する予定だったといっている。

C)一門に入るよう申し合わせた背景は何か。

B)補助金の流れを明確にするためと、ガバナンスを強化するためだったと協会はいっていた。

C)すべての部屋が一門に入れば補助金の流れは透明化できるのか。よく分からない理屈だ。ガバナンス強化のためというのもにわかに理解できない。

A)一門とは、いわば派閥のようなもの。私的集団ができることで、カネの流れや統制が強まるとは思えない。先ごろあった自民党総裁選でも、国会議員は派閥の締め付けによって投票した。その結果、国民の意思とはかけ離れた結果が生じた。派閥の力学とはそんなふうに働く。一門加入の義務付けは、透明化を目指す組織改革とは逆方向を向いている気がする。

B)貴乃花と協会の言い分がかけ離れている以上、真相はにわかに判断しにくい。細かいことはさておき、協会側の発言で思うのは、優勝回数22回という横綱に対して、あまりにも尊厳を重んじる姿勢がないということだ。土俵上の実績に対するリスペクトがなくて、相撲協会の存在理由はどこにあるのだろう。

C)一門加入をきちんと文書化せず口頭での申し合わせにとどめ、しかも貴乃花には(貴乃花の主張通りだとすれば)9月中旬になって伝わったという。そうだとすれば、貴乃花締め出し工作と受け取るのが普通だ。

A)告発状は事実無根だと認めるよう、圧力はあったと思うか。

C)どの段階でかは分からないが、一門に入るためには、告発状はウソでした、といっといたほうがいいよ、ぐらいの話はあっただろう。協会は絶対にそこは認めないだろうけど。

B)内閣府への告発状は、いわば内部告発だった。今の社会では、内部告発者はきちんと公益通報者保護法によって保護される仕組みになっている。貴乃花が告発状を取り下げたのは自分の弟子が暴力事件を起こしたためだが、内部告発者としての人権はきちんと守られるべきだ。

 

尋常ならざる同調圧力の世界

A)全体を俯瞰すると、どうも日本的ないじめの構造に見えて仕方がない。

B)相撲協会の中でどんな議論が行われているのか、まったく聞こえてこない。これは、日馬富士の暴行事件のときもそうだった。協会内の人の顔と言説が見えない。これは異常なことだ。これに対して貴乃花は異分子扱いだ。個別の顔が見えない不気味な集団が異分子を排除する。近代日本で延々と繰り返されてきた構図だ。

C)鴻上尚史氏が「不死身の特攻兵」であぶりだした「尋常ならざる同調圧力」の世界がここにもある、ということだろう。

B)少し視点を変えて言うと、貴乃花は西郷隆盛に似ている。尊王攘夷から尊王開国へと日和見的な修正主義に走った維新政府に対して、西郷は筋を曲げず、負け戦を承知の西南戦争で散った。

A)西郷は征韓論者だったし、吉田松陰もアジア出兵をにらんだ軍国主義を視野に入れていた。明治維新のイデオローグたちは少なからず、こうした側面を持つ。それがのちのち、アジア・太平洋戦争という局面を招いた、ともいえる。

B)話が広がりすぎた。西郷は勝海舟との直談判で江戸城無血開城を成し遂げた。柔軟な戦略家なのか、それとも強硬な原理主義者なのか…。実像が見えないところに、国民的人気の所以があるように思う。貴乃花と似ている。

 

日本全体を覆う不気味な空気

A)貴乃花に対して、組織人としての資質がないとか、大人の対応でないとか、聞くに堪えない批判が相撲協会から出ている。そんなイメージを作りたいのだろうが、逆に、相撲協会の器量のなさにつながっているように思う。

B)たしかに。貴乃花のような人間がいてもいいじゃないか、とどうして言えないのだろう。それも、一人として。その辺は組織として不気味だ。

C)しかし、これは相撲協会だけのことではない。先日の自民党総裁選だって、石破茂・元幹事長に対する「排除の論理」が随分働いた。選挙に立つだけで、異常なことだった。前回総選挙の秋葉原演説では「安倍やめろ」コールに対して「こんな人たちに負けるわけにいかないんです」と応じた安倍晋三首相の人間的な狭量さが目立った。今回は、公道であるにもかかわらず選挙カーの周囲を支持者で固めたらしいが。

A)現政権になって、メディアに対する露骨な介入も目立つ。これも、批判は許さない、という了見の狭さがなせる業だ。

B)石破さんが一級の政治家とは思わないが、テレビでの一連の討論を見ていると、石破さんがとても優れた政治家に見えた。それだけ安倍という政治家の品性がないということだろう。

B)国籍の違う人たちや沖縄の人たちに対する根拠のないヘイトスピーチといい、杉田水脈衆院議員のLGBT差別論文を掲載、擁護した「新潮45」といい、異分子排除の動きが果てしなく続く。政権、自民党や相撲協会の動きはこれらとも同質の根を持っている。日本全体が不気味化している。

C)鴻上さんが描いた時代のようにならなければいいが。

 


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青写真が描けない日本~社会時評 [社会時評]

青写真が描けない日本~社会時評

 

A)近ごろの三大話は、西日本豪雨禍に続く北海道地震、体操協会まで揺るがしたスポーツ界の暴力体質問題、ちっとも盛り上がらない自民党総裁選。こんなところか。

B)北海道地震では、見渡す限りの山が震度7で崩落した厚真町の光景もショッキングだったが、全道一斉停電(ブラックアウト)という事態に驚いた。どんな制度設計をしていたのだろうか。全道300万㌔㍗余りの需要に対して、苫東厚真という一つの火力発電所がその半分を受け持っていたというのが、危機管理上どうだったか。

C)北海道では泊原発が2012年以降、運転を停止している。このことが影響しているらしい。原発依存体質から電力会社が抜けだせないでいることが遠因ではないか。

A)どういうことか。

 

「原発依存」体質が招いた全道停電

C)泊原発は3基で計200万㌔㍗の発電能力がある。これが稼働していれば苫東厚真火発はフル稼働する必要がなかった。つまり、今回のような事態は起こりようがなかった。おそらくこれが電力会社の言い分だろう。しかし、これは問題のすり替えだ。東日本大震災以降、原発の安全性に大きな懸念がある今、本来なら垂直型、中央集中型ではなく水平型、分散型ネットワーク方式による電力供給システムへの転換が図られるべきなのに、原発依存の設計思想からいまだに抜けだせずにいたため、今回のような事態が起きたといえる。

B)原発は、中央集中型システムの典型だ。本当に怖いのは原発稼働時に、原発を含め全道の発電所が一斉に緊急停止し、原発の外部電源が断たれた場合だ。最悪の場合、核燃料の冷却機能が失われる。そんなことが起きたらどんな対処が考えられたのだろうか。

C)今回の事態を奇貨として、エネルギー供給システムの分散型ネットワーク化を進めるべきだ。

A)でも今の政権ではどうかな。とてもそんな決断は考えにくい。体操協会の暴力問題はどうか。

B)塚原光男といえば、体操界に詳しくない我々でもその名を知っている。オリンピックのレジェンドだ。しかし、その塚原氏と妻が、70歳になってなお強化の現場を取り仕切っているのはどうなのか。女子レスリング、アマチュアボクシングもそうだが、老人が過去の栄光と既得権にしがみついているのは見苦しい。老害こそが最大の問題だ。

C)一人の女子選手が会見を行い、体操協会の体質を告発するに至った心情を考えると胸が痛いが、協会が暴力を振るったというコーチの無期限登録抹消処分に至るまでに、なぜ是正策が取られなかったのか、不思議だ。裏で何かあると考えるのが普通だろう。

A)結局は、こうした暴力的指導法が日常的に存在し、だれも気にかけなかったということではないか。コーチ一人の問題ではなく、スポーツ界のある種ムラ社会的な側面が問題の根底にあるようだ。

 

尋常でない同調圧力

B)ムラ社会というか、最近「不死身の特攻兵」という本で、9回出撃して9回帰還した特攻隊員のことを書いた鴻上尚史さんも言っているが、底流にあるのは日本社会の尋常でない同調圧力ということではないか。スポーツ界は、目指す目標が同じであるだけに同調圧力が働きやすい。

C)1970年代、原発建設が住民の反対を押し切って「国策」として進められたのも、尋常でない同調圧力の結果だった。それが今日の原発列島を生んだ。

A)自民党総裁選に目を向けよう。状況を見ると日本の政治の悲惨さを思わざるを得ない。

C)これこそ、根拠のない同調圧力の結果だ。自民党の国会議員たちは何をおびえているのか。情けない限りだ。

B)今の状況を招いたA級戦犯は岸田文雄・党総務会長だろう。安倍首相が次を担当したとしても1期3年だ。その間、干されるのを覚悟で立つか、それとも安倍の後ろをもみ手して追随し、確証のない「のれん分け」を期待するか。誰が見たってここで立った方が戦略的に優れているのは明白だった。

C)結局、岸田という政治家は立つべき時に立てないという評価が定まった。

 

政策的成果などない安倍政権

A)外交の安倍だの経済の安倍だのと政権の取り巻きは言いふらすが、そんなものに実体はない。それは国民がよく知っている。安倍外交とはトランプの番犬として時々吠えてみただけのことだし、北朝鮮と差しで話をするといいながら外務省を通してきちんとしたパイプを作ろうとした形跡はない。小泉純一郎政権の対北朝鮮外交での田中均外務審議官のような存在は皆無だ。とりあえず内調を使ってなんとかしようとしているが、どんなものか。手玉に取られるだけでは。経済に至っては、何をもって評価するのか。昨年のGDPは世界3位だが、2位の中国とは2倍以上の差がある。一人当たりGDPは世界25位だ。貧困率は、2015年のデータだが世界で12位。チリあたりと同列だ。無理やり円安株高政策を進めて企業は歓迎かもしれないが、国民には何の恩恵もないことはデータからも明らかだ。

B)来年度予算編成がこれから本格化するが、早くも一般会計で100兆円を超える見通しになった。イージスアショアを米側の言い値で買わされて防衛費はまた増額だし、プライマリーバランスの均衡化なんて本当にやる気があるのか。最近、2020年度目標を5年先延ばしと伝えられたが、25年度だって実現はあやしい。

C)こうしてみると、政策的成果はほとんどないし、モリカケ問題で官僚組織はガタガタだ。これであと一期やるなどとどうして言えるのだろう。自民党内でもほとんど批判がないのは不思議というほかない。石破さんは批判しているけど。

B)結局、政治家としての倫理観よりポストに群がる処世術のほうが先に立っているとしか思えない。政権党のこうした堕落ぶりに対しては、本来なら他の政党が取って代わるべきなのだが、今の日本の政治はそうした仕組みになっていない。その結果、日本の政治は果てしなく堕ちていくばかりだ。


防災・環境保護の先進国へ
A)
北海道地震で浮き彫りになったのは、ポスト原発をにらんだ電力供給システムの青写真を描く能力を持ち合わせていないこと。スポーツ界で明らかになったのも、新時代に即した選手の育成法をだれも描けず、旧態依然とした手法がまかり通っていること。どうも、その根幹にあるのは、ポスト冷戦の時代になお米国追従しか頭にない現政権の在り方であるという気がする。既得権益にしがみついているから官僚を含めあちこちの組織が腐敗し、倫理観を失っている。

B)総裁選に立った石破氏が提唱したが、昨今の豪雨禍や地震被害を見ると、防災庁を作るべきではないか。その中に日本版FEMAを創設する。

C)さらにいえば日本は防災、環境保護の先進国を目指すべきではないか。脱原発、エネルギー政策の転換、脱地球温暖化の国際的な主導国になる。これから老人(大)国になるしかない日本にとって、これこそが国の青写真づくりに結び付くはずだ。かつてのような経済成長第一主義は捨てるべきだ。 


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酷暑の夏のうんざりニュース~社会時評 [社会時評]

酷暑の夏のうんざりニュース~社会時評

 

A)今年の夏は異常な暑さだ。豪雨禍も通常ありえないレベルだったが、気温40度が何回も記録されるこの酷暑もありえないことだ。

B)首をかしげるのは、もはや災害といっていいこの酷暑に政府が何の手も打たないことだ。西日本豪雨災害に対しても反応が鈍すぎる。

C)それはどこから来ているか。近年の異常気象はまぎれもなく地球温暖化による「不都合な真実」として起きているにもかかわらず、そうした認識がないことが問題だ。だから、地球温暖化にどう立ち向かうかという明確な姿勢が政府に見えない。

A)その酷暑の中で、うんざりするニュースが相次いでいる。

 

日本ボクシング連盟会長のキャラの裏側

B)日本ボクシング連盟「終身」会長の山根明氏に対して、連盟内から333人連名による告発文が出された。山根会長もメディアを通じて反論しているが、やめざるを得ない情勢だ。

C)山根氏自身が、山口組系組長との長年の交際を認めたことが決め手になるだろう。ボクシングは東京五輪種目であり、その連盟の会長が反社会勢力と関係があったとすれば、鈴木俊一五輪担当相がいうように、もはや「論外」の話になる。

A)山根氏のキャラクターをどうみるか、昭和のオトコ像をみるのも勝手だが、そうした話とは別に、出生は複雑だ。1939年、日本の植民地下であった釜山に生まれ、80年に帰化している。ボクシング連盟会長という地位にありながら過去がほとんど闇に包まれているということがしばしば話題になるが、いま明らかになっているのは「山根明」としての経歴であり、韓国籍の時代は闇の中だ。

C)本人は、この出生説について否定している。大阪で生まれ、父が憲兵でGHQによる戦争責任追及を恐れてしばらく韓国に移住したというが、疑問点も多い。メディアは本人の説をそのまま流しているが、どうだろう。

A)もし、韓国人としての経歴があったとすれば、そのままのしあがっていくのは大変だっただろう。彼は「おとこ一匹」とか「一匹オオカミ」とか、よく口にするが、その内面の奥にはやはり差別への対抗心があったのでは。彼は日常的に日の丸のついたジャージを着ているようだが、そのへんの過剰な「日の丸愛」にも屈折した心情がうかがえる。

C)いま、メディアは山根明と「日本ボクシングを再興する会」の言葉のジャブの応酬を面白おかしく伝えているが、背景にある日本の戦後史と、その中を、差別に耐えて生きてきた男の人生は何だったのかも、折を見て伝えるべきではないか。

A)山根という個人のキャラに回収してしまうのではなく、いま指摘があったような伝え方ができればボクシング連盟内紛は単なるスキャンダルではなく普遍性を持った問題として認識されるだろう。

 

日大アメフト部と田中理事長

A)日大アメフト部の今秋の公式戦復帰も、関東学生アメフト連盟の裁定によって消えた。

B)学連はどうするのかな、と思ってみていたが、日大側の対応があまりにも悪すぎた。

C)それも、田中英寿理事長一人の対応だ。田中理事長と山根会長。人間的なキャラもだが、組織への対応ぶりも似ている。双方向の対話がない。一方的な上意下達だ。そして、公と私の区別がない。山根会長はボクシング連盟を「私」の領域で牛耳ろうとするが、田中理事長にとってアメフト部は「非・私」の領域。つまり、他人ごとの問題だというのが透けてみえる。

A)1968年の日大闘争は、日大当局の権力主義的対応が発火点になったが、半世紀たっても日大は変わらないんだな、というのが率直な感想だ。

B)でも、やっぱり変わるべきでしょう。もう。

 

安倍三選への流れは変わらない?

A)うんざりニュースの代表格は、なんといっても安倍晋三首相の三選の流れが強まっていることだ。

B)いま、竹下派が安倍、石破の間で揺れている。どうやら石破支持でまとまりそうだが…。

C)まあ、こればかりは「政界、一寸先は闇」だろう。幹事長ポストをちらつかされて、それでも石破支持でまとまるならほめたものだが。

B)岸田文雄・政調会長が安倍支持を打ち出したものの、「タイミングが遅すぎる」と党内では不評だ。

C)岸田という政治家、少なくともケンカ師ではない。それが今回よくわかった。安倍はやってもあと一期、それを干されたからといって何をビビることがあるのか。それよりも、経世会と宏池会で手を組み、小泉進次郎も引き入れて安倍の邪道保守路線を徹底的にたたくという道筋をどうして描けなかったのだろう。そのほうが、日本の保守政治にとっても岸田にとっても展望が開けたはずなのに。

A)安倍政権は、日本列島が豪雨禍にあるとき、カジノ法案と参院選挙制度改革に血道を上げていた。世論調査でも、この二つの法案に過半数が不要と答えた。それなのに内閣支持率をみると3割から4割が支持している。これをどう見るか。これまでにも言ってきたが、政治的アパシー(無関心)と大衆的ニヒリズム、もしくはシニシズム(冷笑主義)としか理解できない。日本の政治とはどうせこんなもの、という…。

B)それと、安倍政治の最大の罪は、「世界に冠たる」官僚制の破壊にある。

C)「世界に冠たる」かどうかは知らないが、政治が腐れば次に官僚が腐る、ということを最近のニュースは如実に伝えている。財務省とか文科省とか…。

A)確かに、日本の近代化を支えたのは官僚制であり、その人的資源は武士階層だったということは言えるのではないか。ただ、官僚が力を発揮したのは国家総動員体制のもとであり、高度経済成長が終わって国家自体が下り坂にある今、官僚はかつてと違う姿を求められていることも事実。新しい官僚像を描くのは政治の責任だが、少なくとも今の政権にそんな力はない。

 

「失われた時代」はまだ続くのか

B)戦後史を振り返ってみると、1960年代、70年代にはそれぞれ政治の季節があり、時代の明確な「色」もあった。80年代には「ジャパンアズナンバーワン」があり、その後、バブル崩壊があった。得意と失意の時代だ。その後は、定義不能な時代が続く…。

C)平成がもうすぐ終わる。「平成」の30年とは何だったのかという議論も起きるだろう。

A)平成の30年は「失われた30年」として記憶されるのではないか。

B)安倍政権が今秋以降も続くとしたら、元号は変わっても「失われた時代」は続く、ということになりはしないか。

C)時代閉塞もいいところだ。先ほどの時代回顧に一つ付け加えると、1950年代は戦後へ生きのびた戦中派の思想的葛藤があり、面白い時代だった。竹内好とか谷川雁とか吉本隆明とか…。

A)話は尽きないが、今回はこれで終わります。

 


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この国はどこまで堕ちるのか~社会時評 [社会時評]

この国はどこまで堕ちるのか~社会時評

 

A)サッカーW杯は、フランスの優勝で幕を閉じた。

B)クロアチアが優勝しないかとひそかに願っていたが…。

A)それはなぜ?

B)ユーゴから独立し、長い内戦の時代をくぐり抜けてきた。第2次大戦下ではナチスの傀儡政権ができたり、セルビア人との不幸な紛争もあったりしたが、苦難を乗り越えてきた国だ。ここは優勝してほしかった。

C)世界にはかつての苦しい時代を乗り切って国際社会に平和をアピールする国もあれば、そうでない国もある…。

A)日本のことだね。

C)そうだ。この国はいったいどこまで堕ちるのだろうか。最近の政治情勢を見るとそう思う。

 

豪雨警戒横目に宴会騒ぎ

B)7月5日夜、「赤坂自民亭」なる飲み会が衆院議員宿舎で開かれ、岸田文雄政調会長ら自民党幹部のほか安倍晋三首相も出席した。西村康稔官房副長官がその写真をツイッターに投稿してはしゃいでいた。その日の午後には気象庁が異例の会見を開き、豪雨被害の警戒を呼び掛けていたので、緊張感のなさに批判が集中した。

C)既に5日時点で京都の鴨川は氾濫寸前だったし、中国地方でも豪雨被害が出始めていた。政府・自民と庶民の感覚はあまりにかけ離れている。

A)飲み会は偶然のタイミングで開かれたもので、批判は感情論だとする向きもあるが、そうは思えない。やはり、国会議員の感覚が庶民とずれている。

B)石破茂元自民幹事長が防災省の設置を訴えているが、検討に値する。世界中で日本ほどあらゆる災害に見舞われている国も珍しい。一方で、今回の場合もそうだが、事前の避難措置が気象庁に任せきりの感がある。国・自治体・自衛隊・消防・警察が早くから連携する方法を模索したほうがいいように思う。

 

死刑執行を命令した人たちも

A)6日にはオウム真理教の松本智津夫ら7人の死刑も執行された。刑執行の命令者である上川陽子法相も飲み会に出席していた。

C)7人の死刑執行を命令したのは安倍首相と上川法相のラインだろうが、彼らが前日の飲み会に出席していたというのは、感覚的に信じられない。

B)極悪非道の狂信者をこの世から消したということでなく、オウム事件とは何だったか、国家の名において7人の命を奪うとはどういうことか、そうした重みを自らの肩に感じているというふうにはみえない。オウム事件はたまたま起きたのではなく、社会の病理というものがあったように思う。1995年は阪神淡路大震災があった年でもあり、同時に東西冷戦が終わり、バブルがはじけた直後でもあった。「失われた20年」の起点とする説もある。戦後の転換期として複雑な社会の断層を抱えた年でもあった。そうしたことを踏まえながら、刑を執行することの重みを感じるべきだった。ハンコひとつでおわり、という話ではない。

A)今、世界の先進国で死刑制度が実際に運用されているのは日本と米国ぐらいだ。特に、日本では絞首という手段がいまだに用いられている。このことにも批判が強い。

 

倉敷・真備町の避難所では

A)11日には、町内の3分の2が洪水被害に見舞われた倉敷市真備町の避難所を安倍首相が訪れた。訪問前夜に突然スポットクーラー18台が現地に送られ、うち12台が首相視察の避難所に設置されたという。こうして首相は冷房のきいた避難所で被災者に形式的な慰めの言葉をかけた。そのシーンをメディアが流した。

B)首相が視察しなかった避難所は割を食った可能性がある。庶民の感覚を知らぬ首相と権力者の意向を忖度する周辺の官僚たち、彼らの注文通りの「絵」を流すメディアの構図はここでも健在だ。

 

安倍三選は既定事実?

C)これだけの豪雨被害がありながら国会で審議しているのはカジノ法案と選挙制度改革。

B)参院の選挙制度改革はひどい。選挙区格差解消ができないから比例区の定員を増やし、そこで合区で落ちた議員を救済しようという。救済される議員を決めるのは有権者でなく、自民党だ。

A)カジノ法案も、まったく必然性がない。

C〉大洲市のダム放流で住民が水死した件、国交省が第三者委員会による調査を表明したが、まずは国会で集中審議をすべきではないのか。先ほども話が出たが、ほかの事例も含めて災害時の国と自治体の連携を見直す必要がありそうだ。

B)自民党からは、民主党政権時代の「コンクリートから人へ」というスローガンが間違っていたとの批判が出ているそうだ。今回の豪雨被害の核心はそこではない。地球温暖化によって異常気象が深刻化している点にある。

C)かつて、治山治水対策は「100年に一度の異常気象にも耐える」ということを合言葉にしていた。ところが、ここ数年を見ても、100年に一度のはずの異常気象がほぼ毎年起きている。そうなると、治山治水対策のハードルを上げないといけない。一方で、日本で毎年起きているこの不都合な真実のデータをできるだけ早く国際社会に突き付けること。とても政権与党は、飲み会などやっている暇はないはずだ。

B)新しい治山治水対策を全国的に展開する。そうすれば、カジノなど作らなくても成長戦略はできる。

 

緩み切った政府与党、その背景は

A)でも、今の緩み切った安倍政権ではもう無理だろう。それでも今秋に三選となれば、庶民は絶望するしかない。

B)7月16日付朝日に、世論調査結果が載っている。カジノ法案は「必要ない」が76%、参院選改革案は「反対」が56%。しかし、内閣支持率は38%。不支持が43%あるにしても、支持率が異常に高い。個別の政策への世論の「反対」をみると、とっくに倒れていてもおかしくない政権だ。

C)内閣支持率の高さは、結局誰がやっても…という政治的アパシー、言い換えれば大衆的ニヒリズムの結果だ。それにやはり、小選挙区制が大きい。野党がバラバラではだめで、ここは歯を食いしばって大同団結し、いったんは離れた無党派層を回帰させるしかない。そうしないといつまでも自民党の腐敗政権が続く。

A)あるいは小選挙区制を変えるかだが、これは自民党が乗るわけもなく、可能性はゼロに近い。

B)結局、日本の政治の堕落はいつまで続く…。



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日大アメフト「事件」に思う~社会時評 [社会時評]

日大アメフト「事件」に思う~社会時評

 

A)5月6日に行われたアメフト日大―関学戦で日大選手が悪質タックルをしたとして大きな社会問題になった。

B)被害を受けた関学の選手が警察に被害届を出したため、悪質タックルは「問題」ではなく「事件」となった。

C)それにしても加害者である日大側の対応は理解に苦しむ。試合の最中か、遅くとも直後に一言声をかけていれば、これほどのことにはならなかった。

A)しかし、日大の内田正人監督がある選手に反則行為を指示していたと複数選手から証言があった。もしそうなら、関学側に思いやりの一言をかけるなどということにはならない。

B)今まさにそうしたことが疑われている。監督が「試合に出たかったら相手のQBを壊して来い」とルール無視のプレーを選手に指示したという事態が濃厚になった。

A)内田監督は19日に関学を訪れ関係者に謝罪したが、これも最悪の対応だった。関西学院大の読み方を間違え、そのうえ「辞任する」と表明したが、自らが「選手を壊せ」と指示したかどうかは明言を避けた。

B)謝罪をしに行って相手の名前を間違えるなどというのはこれ以上ない失礼な行為だ。しかし、それは本筋のことではないとしても、指示したかどうかは脇に置いておいて辞任するとは無責任極まりない。

■安倍首相の言説と酷似

C)内田監督の会見を聞いて、これは安倍晋三首相の発言とよく似ているな、と思った。安倍首相も、閣僚、官僚になにか不祥事があれば「私の責任」という。しかしどのようなことについてどう責任を取るかは絶対に語らない。森友学園問題でも、自分が関与していたら首相も国会議員もやめると明言したが、これほど森友、加計学園問題への「関与」が疑われる事態になってもやめる気配はまったくない。「責任を取る」という発言と現実に起きていることとの関連、筋道を明言しないからこんなことが可能になる。内田さんは、監督はさっさとやめたが、そのことと違反プレーとの関係は明確でない。

A)学内ナンバー2という地位があるから、監督のポストにそれほど執着がなかったのだろう。下手をすれば、暴走した選手に代わって引責辞任という美談になりかねない。

B)安倍首相は現実の事象とは無関係に「すべて私の責任」という。だから結局、それは言葉だけで実際に「責任を取る」ということに結び付かない。内田さんは結局やめたが、どういう理由で辞めたかははっきりしない。

C)日大の選手から複数の証言が出ているのだから、監督の指示はあったのだろう。しかし、被害側の選手から被害届が出れば刑事事件だ。今後のことを見通せば、とても指示したとは言えない。傷害罪の共同正犯になる。

A)つまりは自己保身のために明言を避けている? それでは指示された選手も被害を受けた選手も浮かばれない。

■ナンバー2の美学?

A)内田さんはいま学内のナンバー2だ。アメフトに関しても、日大には篠竹幹夫という名将がいた。内田さんはその下でコーチを務め、監督になったらしい。

B)いわゆるナンバー2の美学というのがある。かつては毛沢東体制下での周恩来が代表的な事例。時にはナンバー1をしのぐ力量を持ちながら、ナンバー2としてのおさまりの良さを自覚していた人たちだ。日本でいえば保利茂、野中広務、後藤田正晴…。しかし、実力者にくっついてナンバー2になり、身の程をわきまえずナンバー1に上りつめて失敗する人たちがいる。内田さんもその一人に見える。

C)19日の会見しか我々には材料がないが、見た限りでは器も力量も備わっているとは思えなかった。こういう人がトップに立つと下は苦労するだろうなあ、内田さんはそういう人に見えた。

A)安倍首相の下で官僚が苦労している。それと同じことを日大アメフト部は経験しているように思える。

 

■サラリーマン社会の縮図

B)1960年代に日大闘争というのがあった。東大闘争と並んで全国の大学闘争の先駆けとなった大闘争だった。国策を推進する帝国大の頂点にある東大の教育、研究が、表向きの中立でなく「体制内存在」であることの犯罪性が問われたのに対して、日大は体制を支えるマスとしての労働者を作り出していく教育機関としての性格が問われた。発端は一部の造反学生に対して大学当局が暴力的で不合理な対応をとったためだった。アメフト問題(事件)に対する日大側の対応を見ていると、さすがにあの時代のような暴力性はないのかもしれないが、根底にある体質は変わっていないな、と思う。

C)それとともに、今回の事件はサラリーマン社会の縮図に見えて仕方がない。会社のために違法行為、もしくは違法すれすれのことをやってこそサラリーマンの鑑、みたいな発想がある。

B)かつてロッキード事件、グラマン事件というのがあった。国会で証人喚問された丸紅や日商岩井の人たちも、そういう人達だった。

A)わがサラリーマン時代を振り返ってみても、「どうして彼が…」と首をかしげる出世を果たした人間がいた。よくよく聞いてみると、例外なく「彼は率先して泥をかぶるから」「汚れ役を引き受けるから」という答えが返ってきた。今回の日大アメフト事件とも共通性がある。

■官僚の世界はどうなのか

B)サラリーマンだけでなく、官僚の世界でも同じようなことが起きている。理財局長だった佐川宣寿さんも、違法行為すれすれを行かなければ出世はできないと思ったのではないか。

C)佐川さんを見ていると、ハンナ・アーレントが書いた「イェルサレムのアイヒマン」を思い出す。ユダヤ人をガス室に送ったナチスドイツの「死刑執行人」が、どこにでもいる小役人だったと裁判を傍聴したアーレントが喝破した。

B)たしか、アーレントは、ナチスの官僚たちにとっては自らの倫理観より違法か合法かという判断の方が優先した、と書いていた。読んだときはピンと来なかったが、最近の官僚の答弁を聞いていると、アーレントの指摘が妙に腑に落ちる。彼らは、適法であり正規の手続きを経ているという確証があれば、どんな犯罪行為でも率先してするのではないか。そんな怖さがある。

A)519日付朝日で、政治学者の豊田郁子さんが「忖度を生むリーダー」と題して同じ趣旨のことを書いていた。同感しながら読んだ。

B)一国の政治リーダーが「責任を取る」といいながら官僚の忖度に対しては知らんぷり。このことが社会的風潮として蔓延しているのではないか。官僚の腐敗も日大アメフトの悪質タックルも、根は同じという感じがする。
 


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