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少女の眼を通した「家族」を繊細に~映画「夏時間」 [映画時評]

少女の眼を通した「家族」を繊細に~映画「夏時間」


 父の事業の失敗によって、オクジュ(チェ・ジョンウン)は祖父ヨンムク(キム・サンドン)の家に引っ越した。しばらくして離婚寸前の叔母ミジョン(パク・ヒョニョン)も住み始めた。こうして父ビョンギ(ヤン・フンジュ)、弟ドンジュ(パク・スンジュン)を加え5人の生活が始まった。
 10代の少女の眼を通した、ひと夏の家族物語である。祖父は認知症が進み始め、施設に入れる話が持ち上がる。今住んでいる家をどうするか、ビョンギとミジョンが話し合うが、容易に答えは出ない。いっそ売却してカネを分けようか。そのうち祖父は入院先の病院で亡くなってしまう。オクジュは悲しみの淵に沈む。
 複雑な人間関係の妙が繊細に描かれる。韓国映画にありがちなけれん味はない。淡々とだが正攻法で家族の日常を描いていく。この手法、誰かに似ていると思い心当たりを探ったが、是枝裕和や小津安二郎あたりだろうか。少女の成長物語といってしまえない苦さも備えている。
 2019年、韓国。新鋭ユン・ダンビ監督の次作に期待したい。


夏時間.jpg


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