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不条理と疾走感~映画「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 [映画時評]

不条理と疾走感~映画「バードマンあるいは

(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」


 アカデミー賞を席巻した、この映画を観てきた。かつて「バードマン」3部作で一世を風靡した男が60歳を過ぎ、復活を狙って自ら脚本、演出、主演でブロードウェー進出という破れかぶれの挙に出る。しかし、ある新聞の大物批評家からは「映画スターと演劇は別。思い上がり」と散々の酷評を受け、追い込まれる。で、どうしたか…

 空中浮遊したり、指差すものが動いたり、と超能力感をまきちらすこの男リーガン・トムソン(マイケル・キートン)の振る舞いは、かつてスターだったころの全能感であろう。それとは裏腹に、観客の反応や批評家の筆さばきまでは「超能力のまま」とはいかない。その辺の焦り感が、シームレスなカットと不条理なセリフ回しの中で全開する。虚実入り混じって、最後は、かつての「全能スター」のまま、状況突破を図るのだが。

 たしかに、コンマ何秒まで計算していると思われるカメラワークと、それに疾走感を与えるドラムはすごい。さらに、映画だの、演劇だのって一体何?という冷めた視線も観る者には心地よい。でも一般受けするかな、この映画。かつて、ゴダールを観た時のような印象。監督は「バベル」「ビューティフル」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ。マイケル・キートンは超絶演技だが、おずおずとブロードウェー初舞台を踏む中年女優を演じるナオミ・ワッツがいい。

バードマン.jpg 


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