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重厚に時代の闇をつく~映画「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」 [映画時評]

重厚に時代の闇をつく~映画「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」


 1969年。世界が分岐点に立っていた頃である。イタリアも例外ではなかった。学生運動が盛り上がり、労働運動に波及しようとする。冷戦のさなかである。そんな折り、100人以上の死傷者を出す爆破テロが起きる。フォンターナ広場爆破事件である。

 事件は当初、アナキストの仕業と見られ、容疑者が取り調べを受ける。しかし、容疑者は警察署から飛び降り、死亡する。本当にそれは飛び降りだったのか。謎は残る。

 捜査にあたったカラブレージ警視(ヴァレリオ・マスタンドレア)はついに真相に肉薄、「爆弾は二つあった」ことを突き止めるが、それは時代の闇とも言うべき謎の一端に取り付くことにほかならなかった。背後にはもっと大きな力、すなわちアナキストでもファシストでもないテロの仕掛け人がいたのだ。こうして、カレブレージ警視自身も、知ってはならない真相の一端をつかんだ代償を払うことになる。

 「フレームアップ」が時代の流れを変えた例は、歴史をひもとけばいくらでも出てくる。いまだに犯人が特定されないこの事件もそうした事例の一つであると、無愛想だが重厚な映像が教えてくれる。

フォンターナ広場.jpg 


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