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ただのスパイものでは~映画「007 スカイフォール」 [映画時評]

ただのスパイものでは~映画「007 スカイフォール」

 

 2時間23分が長くてたまらなかった。各種の映画批評ではそれなりの評価のようだが、どうなのかなあ。

 退屈だった理由をいくつか。

 ①J・ボンドのダニエル・クレイグに華がない。決定的に地味である。しゃれっ気もない。

 ②敵役の「敵意」の根拠がせこい。かつての職場への恨みを晴らすため、というのではなあ…。

 ③前項にからむが、敵はやっぱり巨大な悪の帝国でなくっちゃ。

 ④女っけがゼロ。エンターテインメントとしていかがなものか。


 今回の作品は「ドクター・ノオ」以来、50周年、第23作目だという。つまり、それだけ「007」にこめた鑑賞者の思い入れというものがある。それは大事にしてもらいたいのだ。ただMI6とアクションが売り物というのなら、どこにでもあるスパイ映画である。それなら先日、ジョン・ル・カレの原作を映像化した「裏切りのサーカス」を見たばかりだが、あちらの方がよほど上質で気がきいていた。

 たとえば敵役シルヴァがひそむ朽ちたアパート群(長崎沖の軍艦島でロケ)が出てくると、その地下には巨大な要塞があり、潜水艦が水中から出入りし、という設定ならわくわくするのだが、そんなものはいっさいなし。縛り付けた女を射殺して終わりではあまりに味気ない。

ただし、シルヴァを演じたハビエル・バルデムは存在感たっぷりだった。「Biutifulはとてもよかったが、見間違うほど役をつくってましたね。だけど、精神の奥底で多少の屈折はあるものの、かつてのMI6の仕打ちに復讐するという極めて個人的な動機では、敵役のキャラクターとしてはちとしんどい気がする。

それから、これはいまさらのことなのだが、やっぱりソ連がなくなったのはこの手の映画ではしんどいですね。トルコから上海、マカオと舞台が移るのを見ていると「仮想敵は中国か」と一瞬思ったりするが、だからといって具体的な進展はなかった。

なんだか、平凡なスパイ映画を見てしまったような気分だ。時間を無駄にした。

 スカイフォール.jpg

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