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なるほどね、嘉田新党。しかし… [社会時評]

なるほどね、嘉田新党。しかし…


 ふむふむ。12月4日の衆院選公示をきっちり1週間後に控えた1127日「未来の党」なるものができた。代表は滋賀県知事の嘉田由紀子さん。新幹線駅の建設を「もったいない」とストップさせるため立候補し、当選したのは覚えている。下した相手は自公民が推す候補だった。さらにいえば、そのとき民主の代表をしていたのが小沢一郎だ。その時以来、小沢の頭の中には嘉田さんの「大衆受け」の部分が刷り込まれていたのだろう。

 このブログでも、小沢+亀井連合に「大衆アピール度がちょっと…」と書いたばかりだ。小沢はそれを百も承知だった。次なる一手を水面下でたくらみ、公示1週間前という絶妙のタイミングで繰り出した。環境学者で一見ソフトだがシンは強そうで、という嘉田さんの見かけは「卒原発」のスローガンにぴたりはまると見たのだろうが、嘉田さんの識見も政治哲学も国民はほとんど知らない。しかし、そんなものは選挙に勝つために邪魔にこそなれ、役には立たない、と思っているらしいところが小沢らしい。

 「未来の党」なるネーミングも分かったようで分からない。「未来には党になる」という意味なら、今は政党ではないことになり、未来を語る、あるいは未来を切り開く党という意味なら、もともとそれを標榜しない政党などあるのか、ということにもなる。

 しかし、原発政策を大転換させたドイツには「緑の党」があるが日本にはそれがない、という指摘は昨年の3.11以後、さんざんされてきた。そういう意味では、プロデューサー小沢は乾坤一擲、政党の枠組みの間隙を突いたわけだ。そんなわけで「日本のメルケル」に嘉田さんは擬せられることになる。

 この新党に、早くも既成政党は過剰ともいえる反応を示している。それだけインパクトが強く、脅威でもあるのだろう。大筋で言えば「卒原発」だけ語るのは無責任、エネルギー、経済政策をどうするんだ(例えば自民の安倍はそういっている)ということになろうが、エネルギー政策や経済政策を入り口にすれば結論は原発必要論になるに決まっている。原発の問題を考える入り口は倫理である。これはドイツの議論をよく見れば分かる。そして環境論である。豊かさも必要だろうが、その前に人類のあるべき姿を語ることだ。そこから入らない限り、原発ゼロにはたどり着かない。

 だが、ある党が言っていたが、原発以外の政策は白票委任させるのか、という批判も良く分かる。これは小選挙区制の限界、もしくは政界再編の過渡期のゆがみ、と考えるべきだろう。国民の意思の受け皿として、専門店があって悪いわけではない。

 さて、この結果がどう出るか。少なくともドイツ「緑の党」のようにキャスチングボートを握れば意味はあるだろう。しかし、大枠で見れば自民対非自民の構図の中で、非自民の部分がさらに拡散され、その分自民がほくそ笑むという構図になりそうですね。残念ながら。


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