SSブログ

やっぱりダメなニッポン [社会時評]

やっぱりダメなニッポン 

 普段は無関心だが期間中だけ熱狂する。さしたる手当てもしていないのに本番の時だけ頑張れという。バンクーバー冬季五輪の話だ。あの戦争中と変わっていない。選手はみな竹やりで戦っている。熱しやすいが飽きっぽい。こうした性向は、当然のことながらスポーツに限らない。政治の世界もそうなのだ。政権交代から1年もたっていないのに、はやばやと政権与党を見放しにかかる。民主党もだらしないが、いま民主党を見限って日本の未来が開けるわけでもないだろう。

 

 民主党を見限り始めているもっとも分かりやすい指標は「世論調査」だ。最近の調査では軒並み内閣支持率は落ち込み、不支持率が支持率を上回った。共同通信データでは支持36%で半年前の発足時と比べ半減、不支持は48%と急増した(3月6、7日調査)。ほぼ同時期に行った読売新聞データでは支持41%、不支持44%だった。朝日新聞は2月時点だが支持37%、不支持46%。多少の幅はあるが似通った傾向といえる。

 この結果を見ながら「ちょっと待てよ」と思わせる記事がある。3月5日付朝日新聞に載った菅原琢・東京大准教授の「内閣支持率重視は時代遅れ」だ。

 「政権交代がない自民党政権下では内閣支持率に影響力がありましたが、政党同士が政権を争う現状では、内閣支持率の持つ意味はかなり変わりました」

 つまり、こういうことだ。

 自民党はなぜ半世紀も政権の座にいられたか。この問いの答えとして二つの「装置」が考えられる。一つは自民党政治を補完する野党の存在。社会党が長年の「安全弁」として機能したということだ。もう一つは、国民の批判を受けて擬似的な政権交代を行う仕組み。中選挙区での派閥均衡による政権たらい回しである。ここでは世論調査がもっとも直接的な指標となる。社会党が自民党の補完物であったという意味は、1990年代の自社さ政権を見れば分かる。なりふり構わず55年体制維持に走った結果なのだ。2番目の、派閥間でのたらい回しは、小泉政権以降の自民党のうろたえぶりに顕著に表れている。

 しかし、もはや冷戦下の55年体制でも中選挙区でもない。実はもっとも肝心なのは政党支持率なのだ。いまだに内閣支持率に過剰な意味を求めるメディアも読者・視聴者も、旧来の思考法から抜け出せずにいるのではないか。
 ではいま、政党支持率はどうなっているか。

 共同通信データでは民主29%(前回調査よりおよそ4㌽減)、自民22%(同2㌽増)。読売は民主31%(同2㌽減)、自民20%(前回と同じ)。朝日は32%(前回より2㌽減)、自民18%(前回と同じ)だった。共同通信調べはやや詰まってきているが、まだ差があるのだ。では、この数字をもって参院選は民主が勝つと予測できるのか。

 気になる数字がある。民主が狙っている参院の過半数獲得について、国民の過半数は「ノー」と言っているというのだ。その比率は共同調査で58%、読売調査で57%と、ほぼ同水準といえる。この傾向を裏付けるもう一つの数字。参院選での比例代表投票先は、共同で見ると民主、自民とも26%台を示している(読売は民主25%、自民22%)。政党支持率と違い、ほぼ拮抗している。

 この結果から見える「民意」とは。

 当面、民主党政権でいい。ただし衆参の過半数を民主が取り「フリーハンド」での政権運営は不安がある。「政治とカネ」もすっきりしないし、チェックがいる。参院選の結果で政権が変わるわけではないので、ここは民主以外の党に投じておこう。その投票先は自民か、あるいは第三の党。「みんなの党」もいいかもしれない。

 だがこれは日本にとって政治状況の好転につながるのか。参院で民主が過半数を取らなければ、不透明な連立が続くことになる(政策理念の整合性より数合わせ)。民主が少数派に転落すれば、かつてのねじれ国会が再現される。どちらにしても、永田町の迷走は当分続くことになる。

 

 ではどうすればいいか。

 民主も自民も、政党としての存立基盤をしっかり定義することだ。民主はできているかと思ったら、本当は何もできていないことが明らかになりつつある。「政権交代」ならぬ「政治家交代」と揶揄されるゆえんだ。再定義をしたうえで政界再編が必要なら、果敢に実行する。この路線を突き進む舛添要一・前厚生労働相が「首相にふさわしい」候補の一番手なのもうなずけるのだ。

 舛添の名が出たところで、党首の話。

 なぜか新聞のコラムは谷垣禎一・自民党総裁に甘い。「政態拝見」の星浩編集委員は「谷垣自民党の審議拒否の収支決算は必ずしもマイナスではない」と書く(2月27日付朝日新聞)。本当かね。他の野党がまったくついてこない、しかも五輪の影でかすんでしまった3日間だけの「審議拒否」はやっぱり失敗だろう。「近聞遠見」の岩見隆夫は「谷垣の『細うで繁盛記』」として「老練の根性を見せてほしい」と書く(2月20日付毎日新聞)。政権奪回をもくろむ党のトップが「細うで」と揶揄されることからして、どうなのか。やっぱり谷垣ではない気がする。

 小沢一郎・民主党幹事長は。

 「年齢を考えても、小沢さんの時代がこれから10年も続くとは思えない。正直言って、私たち世代の関心は『小沢後』のことです」(40代の副大臣、2月20日付朝日新聞「政態拝見」から)。政権交代を成し遂げたことで小沢の歴史的役割は終わっている。参院選まで幹事長でいるのかどうか分からないが、少なくとも参院選後は「用なし」になるだろう。ある月刊誌に言わせれば「賞味期限切れ」なのだ。

 と、ここまで書いて鳩山由紀夫をどうするか、見当がつかないことに気がついた。もはや日本の政治を語る上でのアイデンティティーを持たない存在、ということであろうか。

 

 結論。党も政治家もダメ。日本の将来は暗い。救世主よ、出でよ。というしかないか。でも安全保障をめぐる日米密約文書を明るみに出したのはよかった。こういう仕事をしてほしいね。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0