SSブログ

歴史の転換点 面白おかしく~映画「清須会議」 [映画時評]

歴史の転換点 面白おかしく~映画「清須会議」


 ポピュリストで権謀術数の豊臣秀吉。参謀には黒田官兵衛が控える。一方、戦場(いくさば)での突進力で武勇の名をあげた柴田勝家。しかし、彼には深謀遠慮がない。この二人を軸として、織田信長亡き後の家督の後継と領地の配分を協議した歴史的な清須会議を映画化した。

 あらためて映画を見れば、「ポスト信長」を武力によってではなく、話し合いによって決めよう、という「土俵づくり」の段階で勝家にもはや勝ち目がなかったことが分かる。この会議によって、勝家と秀吉の立場は逆転する。翌年、勝家は秀吉と賤ヶ岳で一戦を交えるが、もはや時代の流れは動かしがたいものであった。会議の結果、秀吉が推す幼少の三法師(信長の孫)が家督を継ぐことになり、織田家自体が有名無実になったことはいうまでもない。流れは「天下びと」秀吉の実現に向かったのである。

 なお、清須会議の後、勝家は信長の妹お市の方と結婚するが、史実としてはこれも秀吉が仕組んだとする説がある(ここまで映画に組み込めばもっとおもしろかっただろうが)。清須会議は舞台となった城の名に合わせて「清洲会議」と表記するものもあるが、映画は現在の市名「清須」に合わせたようだ。

 秀吉に大泉洋、勝家に別所広司、お市の方に鈴木京香、そのほか佐藤浩市、浅野忠信…とキャストは豪華。映画のつくりとしては、史実自体の面白さに加えて、それぞれの人物像をカリカチュアライズし、軽妙なセリフと舞台回しで観客を飽きさせない。「戦国の世」を、戦闘シーンを交えず描いた映画。大泉ははまり役。別所は相変わらず達者だが、佐藤浩市にもっと出番があってもよかったような…。 監督・原作・脚本三谷幸喜。

 清須会議.jpg

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0