悪い冗談~映画「エンドオブホワイトハウス」 [映画時評]
悪い冗談~映画「エンドオブホワイトハウス」
映画の「ダイ・ハード」に「9.11」を組み込み、北朝鮮で味付けするとこうなるか。
米国独立記念日翌日の7月5日、ワシントン上空に戦略爆撃機が現れ、ホワイトハウスを攻撃する。米軍戦闘機2機が迎撃するが、簡単に撃墜される。なにせ米軍機の出動が遅い。そもそも、ホワイトハウスの上空を爆撃機が飛ぶこと自体、想定しえないことだろう(と思うが、9.11でペンタゴンは簡単に攻撃された)。
地上のゲリラ部隊がフェンスを越えて、ホワイトハウスを攻略するのも随分簡単にすぎる。
で、ブッシュに似たアッシャー大統領(アーロン・エッカート)は、ホワイトハウス地下の非常時用要塞「バンカー」で、北朝鮮から韓国政府スタッフにもぐりこんだテロリスト・カン(リチャード・ユーン)に拉致される(このあたりも随分簡単だ)。そして臨時の指揮権はアラン下院議長(モーガン・フリーマン)にゆだねられる。こんな役を演じるとモーガン・フリーマンも年とったな、と思う。もう少し若い役者の方がよかったのでは。
ここから、「ダイ・ハード」でいえばブルース・ウィルスにあたるマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)の登場。彼は2年前にキャンブデービッドからの帰途、大統領夫人を事故で死なせ、一線を退いている。テロリストに立ち向かうため、単身でホワイトハウスに潜入する。
テロリストの要求は、第7艦隊と在韓米軍2万8500人の撤退、それに核ミサイルを発射させるための、ケルベロスコードの開示である。
ああ、これ以上は明かさないでおこう。
最後は、この種の映画のお決まり、アメリカ礼賛だ。ホワイトハウスがあまりに簡単に陥落するのと合わせて、この結末はいかにも悪い冗談だ。
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