真っ直ぐなアメリカ~映画「トゥルー・グリット」 [映画時評]
真っ直ぐなアメリカ~映画「トゥルー・グリット」
父親を射殺した男の後を追って14歳の少女が復讐の旅に出る―。少女には大酒のみの保安官とはぐれ者の賞金稼ぎテキサスレインジャーがくっついたり、離れたりする。そしてついに、探していた男を見つける―。西部劇である。タイトルは日本語で言えば「真の勇気」。
なんと言っても酔いどれ保安官ルースター・コグバーンを演じるジェフ・ブリッジスがいい(実は、彼の「クレイジー・ハート」を見逃している)。チャールズ・ポーティスによる原作は1968年に米で発表されてベストセラーになり、翌年、ジョン・ウエイン主演で映画化された(この映画は見ていない)。ウエインの役回りがジェフ・ブリッジスであることは容易に想像がつく。テキサスレインジャーのラビーフはマットデイモン。14歳の少女マティ・ロスはなかなか難航したらしいが、当時13歳のヘイリー・スタインフェルドに落ち着いたらしい(この部分、ウィキペディアから)。
少女はこましゃくれて、西部の男たちを手玉に取る。2人の男は少女の依頼を受けたものの「足手まとい」と、当初は同行を避ける。だが少女は荒野へと馬を乗り出す。持っている銃は父の形見、南北戦争当時の巨大な銃である。生意気さ加減が多少はなにつくぐらいの、少女の意思の強さが痛快である。米国の、西部劇の原点をいくような筋立て。
毒蛇にかまれた少女を乗せ保安官が荒野を馬で走る、走る。昼も夜も。あるのは地平線と空だけだ。この地平線の真っ直ぐさかげんが、この映画の基本的なコンセプトであろう。ただただ、真っ直ぐ。いまの米国が失いつつあるもの。
25年たってマティ・ロスは2人の男たちの消息を尋ねる。毒蛇にかまれた左腕は切り落とすしかなかった。しかし、片腕になったロスの凛とした後ろ姿。
監督はコーエン兄弟。製作総指揮はスピルバーグ。映像のあちこちで「スピルバーグ臭さ」が漂う。
この単純明快な作りは、人生のモチベーションを上げたいときにうってつけであることは間違いない。
コーエン兄弟が監督なのに「スピルバーグ臭さ」ですか!
意外です。
今週末観にいきたいと思います。
by 広島ピアノ (2011-03-30 12:36)
≫ 広島ピアノさん
なかなか面白い映画ですよ。
ぜひ感想を寄せてください。
by asa (2011-04-03 17:51)