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亀井静香の完勝だ [社会時評]

亀井静香の完勝だ 

 亀井静香郵政改革担当相の完勝だ。郵政改革案を首相に報告した後、さっさと公表してしまった。ちゃっかり原口一博総務相を抱き込むことも忘れていない。首相は「了解していない」と言ったようだが後の祭りだ。亀井のこの段取りのよさ。海千山千の老練政治家にとって首相や総務相を操ることなど、「赤子の手をひねる」ようなものだったに違いない。

 特に、ゆうちょ銀行預け入れ限度額の引き上げと政府が株保有に関与することを表に出したのは大きい。事実上、2000万円のペイオフを認めたようなものだ。全銀協にしてみれば腹立たしいだろうが、全国郵便局長会議の50万票はかたずをのんで見守っている。議論の行方は間違いなく参院選に影響する。郵政関係者にとって亀井は正義の御旗であり、反対する者は敵対者なのだ。一夜にして亀井は「聞いてやる」立場に回り、首相も仙石由人国家戦略相も「聞いていただく」立場に回ってしまった。だいたい、法律・政令改正や閣議決定が必要な案件で、首相に報告すれば済むと亀井が勘違いするはずなどない。その点、首相は甘かったというべきだろう。

 「郵政」と前後して、政権内ではもう一つの騒動が持ち上がった。週刊誌で報じられた中井洽国家公委員長の女性問題である。いまさら政治家が銀座あたりのホステスと仲良くなったからと言ってどうでもいいのだが、どうでもよくないことが一つある。釈明会見を聞いていると、週刊誌記者に尾行されたことに盛んに首をひねっていたが、これは困るのだ。

 仮にも国家公安委員長である。警察庁長官の上司に当たる。日本の公安のトップである。その人間が、たかだか週刊誌記者に尻尾を握られてしまう。そんなことでいいのか。中井は、閣内では拉致担当でもある。北朝鮮と対峙すべき立場だ。公安のトップということで言えば、中国のインテリジェンスの標的でもあり得る。こんな人間が国家公安委員長なら、北朝鮮や中国の情報機関にとって、弱みを握ることなど「赤子の手をひねる」より簡単なことではないか。本人の脇の甘さはもとよりだが、女性関係をつかんだ記者に感心するような発言を会見でしてはいけない。

 かつての自民党は派閥政治が横行し、怨念が積もり積もって「40日抗争」などという激しいものもあったが、それなりに真剣勝負のところがあった。今の民主党政権を見ていると、竹光で切り合っているような生ぬるさがある。その辺が小沢一郎幹事長や亀井からするとイラつくに違いない。

 3月20日付毎日新聞の「近聞遠見」で岩見隆夫は田中角栄と吉田茂の丁々発止を書いている。間には佐藤栄作が立ち会っている。良寛の書をめぐって「お前が持っていても偽物だが俺が持てば本物だ」と、いかにも貴族趣味の吉田が言いそうなセリフが引かれ、政権継承をめぐるドラマが生き生きと描かれる。相手の腹の底の底をのぞこうとする政治家の執念がほの見える。当時よく言われた言葉「政界、一寸先は闇」―。これは、今でもそうであるべきだろう。やっぱり、今の政治家はもまれていない。

 
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