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民主党は腰を引くな~事業仕分けに思う [社会時評]

 民主党は腰を引くな~事業仕分けに思う

 *事業仕分けの功罪
 *政権交代なのだ
 *慣性の法則
 *ゼロベースでの見直し
 *本当に笑うのは?

 予算の無駄を削り込む「事業仕分け」が1111日から始まった。27日までで計9日間ある。早くも「やりすぎ」とか「現場を知らない議論」とかの反発が出ており、自民党内からは「公開処刑」と不快感が露骨に示されている。しかし、見ているとむしろ政権側の腰が引けているように思えてならない。
 対象は447事業で予算削減規模は最終目標で3兆円。行政刷新会議メンバーの片山博・前鳥取県知事は「削減額は大した額にならない」と発言している【注①】。だいたい数千億円、というのが大方の見方のようだ。仕分け作業のようすはだれでも傍聴できるほかインターネットでも中継されている。つまり、だれでも議論の中身を知ることができる。「革命的なことが起きつつある」(仙谷由人行政刷新担当相)との期待感の一方で、民主党議員の議論の吹っ掛け方が居丈高だとか、相手の主張を聞かないだとかの主張もなされ、テレビではそれに見合った映像も流されている。だが、そうした声を聞きながら思う。
 さきの衆院選で、国民はとにかく政権交代を選択した。その背景には政治構造の変革を望む声がある。1955年以来、半世紀以上も続いてきた日本の政治体制をどうするか。政と官の癒着をどうするか。変えるのは容易ではない。今までのシステムを適度に運用しながら変革はできるのか。それはなかなか困難だろう。鳩山首相が施政方針演説で言ったように「平成維新」を断行する覚悟がいる。
 「タンカーは、舵を切ってもすぐには曲がらないんです」といった首相がいた。物理学でいう慣性の法則が働く。舵を切ってもしばらくはまっすぐ進み続けるタンカーを無理やり曲げようとすれば波風は立つし、船体も揺れる。でも、それでいいではないか。
 巨大タンカーの針路を無理やりにでも変えるエネルギー、それはどこから生まれるか。今はそれを直接民主主義に求めるべきだと思う。国民の常識に立ち、ゼロベースであらゆる仕組みを議論する。そのためにあらゆるシステムを白日の下にさらす。それが変革のエネルギーになる。その意味では、仕分け作業をだれでも傍聴できる形にしたのは正解だ。専門的な知識による政策の一貫性の追求を考えれば間接民主主義が有効だが、慣性を利用しながら効率的な運転を目指す時代の話だ。いまはその時ではない。
 「仕分け作業」は一見、仕分け人対官僚の構図に見える。しかし、官僚の中でも担当省庁と財務省は微妙に立ち位置が違っている。財務省はむしろ「削る」側で、仕分け人と官僚の間に立つ演出家のようだ。そして予算査定は最終的に財務省の主計官にゆだねられている。シナリオを握っているのは最終的に財務省ではないか。先の日本郵政社長人事といい、今は実は民主党-財務省蜜月時代ではないのか?と思ってしまうのはうがちすぎか。最後に笑うのはだれだろう。この点もしっかり見ておく必要がある。
 パフォーマンスと言われようと、民主党はもっと国民世論と結託すべきではないか。その意味では、沖縄の基地移転問題をめぐる民主党の腰のひけようはどうなっているのだろう。米国だって政権が代わればドラスティックな転換をする。第1次大戦後、国際連盟発足時の対応を見ればいい【注②】。思いやり予算を仕分け対象に加えたことを批判していた防衛相がいたが、ひとまずは世論がどう見るかをみていてもいいのではないか。

 【注①】1110日付読売
 【注②】117日付日経「どう見る日米関係」  
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BUN

政権3カ月足らずでこの楽しさ。自民党時代、ニュースはもとよりワイドショーでさえ税金の無駄遣いを嘆くだけだった。嘆いてるだけではたしかにつまらない。こぢんまりまとめるな民主党。それにしても野党はニュースにならないね。自民の悪面、見ないですむだけでも心おだやか、政権交代。
by BUN (2009-11-15 23:09) 

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