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いま必要なのは政権交代だ~三酔人風流奇譚 [社会時評]

いま必要なのは政権交代だ~三酔人風流奇譚

 

◆原発をめぐる深い闇

A)関西電力の経営陣が、福井県高浜町の元助役(今年3月死亡)から3億円余り相当の金品を受け取っていたことが分かった。

B)国税当局の調査で発覚し、昨年夏に関電自身が調査したところ、社内の20人に渡っていたらしい。会長、社長が会見し、元助役の森山栄治氏が特異な個性の持ち主で、要するにすごまれて怖かったから返せなかったと子供の使いのようなことを言っていた。構図としては森山氏がもうこの世にいないので「死人に口なし」、森山氏にすべて罪を擦り付けようとしているように見える。

C)その後、関電の幹部が金品を受け取ったのは森山氏だけからではなく、原発関連工事を請け負った建設業者からもあったらしい。

B)元々の情報の出どころが関電自身の内部調査だから、自らの罪状はできるだけ小さく見せようとするだろう。外部の手が入れば、もっと話は大きくなるだろう。

A)そうなると、完全にこれは原発マネーの還流と受け取れる。贈収賄や特別背任罪の成立が濃厚では。

B)当初は、一方の当事者である森山氏が故人のため立件は難しそうとみられていたが、現存する業者が絡んでいれば追及の余地はある。

C)それにしても、国論を二分する、おそらく世論調査では過半数が反対するであろう原発をめぐってこれほどの闇を見せつけられては、原発政策を前に進めるのはもう無理だろう。

 

◆正義が正義でない時代

A)9月19日には東京地裁で、福島第一原発事故をめぐり東京電力トップの責任を問う裁判の判決があった。津波予見は困難だったと、3人に無罪判決が下った。

B)もともと15.7㍍の津波予測は出ており、東電内部でも検討されたがコスト面から対応策はとられなかった。カネがかかるからやめておこう、と判断したら直後に10㍍を超す津波が来たというわけだ。それなのに、そういう経営判断をした当事者は、なんら責任を問われなかった。

C)判決で、さらにおかしいのは「絶対的な安全確保を前提とすれば原発は稼働できない」としている点だ。「絶対的な安全」というのはあり得ないでしょ、といってきたのは原発に反対するグループの方で、いや原発に限っては絶対的な安全を守ります、といってきたのは原発を推進する側だった。判決は開き直りの論理で、それをいうなら原発やめましょう、となる。

A)「あいちトリエンナーレ」も奇妙な雲行きだ。愛知県知事が再開を目指すと言っているが、国が補助金を出さないと言い出した。

B)NHKのかんぽ報道をめぐっても、おかしなことが起きている。問題を取り上げた「クローズアップ現代+」に郵政側が抗議、NHK経営委員会がNHK会長に抗議したというものだ。おまけに郵政の副社長は元総務事務次官だった。現場そっちのけでパワーゲームが行われている。

C)いずれのケースも、目立つのは組織内の風通しの悪さだ。正しいことが正しいといえない雰囲気が見て取れる。最近、やたらと「ガバナンス」という言葉が飛び交うが、裏を返せばそれだけ組織が機能不全に陥っている。

A)最近、テコンドー協会が選手に総スカンを食って批判されているが、全く他人事とはいえない状況だ。似たようなもの、といっていい。

B)テコンドー協会に限らず、どこもが機能不全に陥っているようだ。

 

◆「日本病」だれが立て直す?

C)元号が平成から令和に変わり、平成の30年をそれなりに総括する試みが見られるが、ほとんどがこの30年を否定的に見ている。

A)吉見俊哉著「平成史」を読んだが、共鳴する部分が多かった。日本は明らかに空洞化し没落傾向にあるが、そのことをだれも声を大にして言わない。あるいは、そのことの認識がないのだろうか。経済指標を見ても、明らかに今の日本は30年前とは違う。違っていいのだが、ではそのことをきちんと認識して政治が行われ、民が暮らしているかといえば、違う気がする。日本の人口構成も、かつて人類が経験したことがないような異常な事態に直面しているが、あまり危機感がない。相変わらず、企業を優遇していればそのトリクルダウンが民のもとに届くという政策を取り続けている。それが幻想だととっくにばれているのにだ。

B)この30年を表すキーワードは失敗、漂流、空洞化、そして自己喪失だった。それらをひっくるめて「日本病」と呼んでもいいかもしれない。かつて「英国病」があった英国にはサッチャーがいたように、日本にも誰か新時代の政治家が現れなければならない。

C)それは小泉進次郎のような?

B)彼はとっくに馬脚を現した。あのクラスでは無理だろう。いま必要なのは、国のグランドデザインを変える力量と哲学を持った人間だ。人口構成にあった経済政策、地球が直面したエネルギー事情に見合う環境政策、そしてなにより、極東アジアにきちんとした足場を持てる国の針路図を描ける政治家。こうしたものが描ける政治家、政党がいなければ、日本は滅びるだろう。いつまでもトランプの「ポチ」で通用する時代ではない。

C)そういえば、北朝鮮がSLBMの大陸間弾道弾発射実験を行ったとき、日本海には自衛隊のイージス艦が1隻もいなかったという。アメリカ任せが招いた防衛の空洞化だ。

A)とりあえず必要なことは、安倍政権の現状を変えること。そのためには政権交代が必須条件だろう。安倍政治をそうざらえしてきちんと批判することから始めないと。

 


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