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突如破綻する日常~映画「愛に乱暴」 [映画時評]

突如破綻する日常~映画「愛に乱暴」


 吉田修一原作。閉じられた空間に放り込まれた人間心理を丹念に描く。おそらく、吉田の得意とするシチュエーションだろう。江口のりこがさすがの怪演。

 会社勤めをやめて結婚8年の初瀬桃子(江口のりこ)は平穏な生活を送っている。隣の実家に住む姑・照子(風吹ジュン)ともまずまずの関係だが、微妙なストレスを感じないわけではない。夫・真守(小泉孝太郎)は最近よそよそしい。桃子自身は主婦を相手にカルチャー教室を開き、気を紛らわしていた。そんな桃子の周辺で、最近不穏な出来事が相次いだ。かわいがっていた猫が失踪、ごみ捨て場の放火、不気味な不倫アカウント…。比例して、桃子は住んでいる離れの床下の何かに執着する様子を見せ始めた。
 日常の破綻は、突然やってきた。真守が、ある女性と会ってくれという。浮気なら早く別れてくれと思う桃子だが、真守は女性との間に子供ができたため、桃子に別れてほしいと迫る。混乱した桃子は、自宅の床下を掘り始める。そこにはかつて身ごもり、流産した子の亡骸があった…。

 日常が破綻し、追い詰められた女性の静かな狂気。江口が不気味にさりげなく演じるのがみどころ。原作は読んでいないので、一部説明不足を感じる。
 2024年、監督・森ガキ侑大。


愛に乱暴.jpg



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