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これが人生というもの~映画「クライ・マッチョ」 [映画時評]

これが人生というもの~映画「クライ・マッチョ」


 90歳になったクリント・イーストウッドが、かつてマッチョだった男の末路を演じる。その意味では、「イーストウッドありき」といっていいほど役柄がピタリはまった作品だ。タイトルは「男らしく叫べ」とか「男らしく泣け」ぐらいの意味だろうが、ここでは反語的な使い方と承知したほうが理解しやすい。「人は自分をマッチョに見せたがるが、それが何の意味があるんだとわかったときには大抵手遅れだ」という味のあるセリフをイーストウッドが語る場面からも、それはいえる。

 マイク(クリント・イーストウッド)はロデオで連戦連勝のヒーローだったが、あるとき落馬によって薬漬けの身となった。酒浸りの中で恩義ある雇い主ハワード(ドワート・ヨーカム)から一つの依頼をされる。別れた妻リタ(フェルナンダ・ウレホラ)とメキシコで暮らす息子ラフォ(エドゥアルド・ミネット)を連れ戻してくれないか、という。誘拐すれすれの仕事をマイクは引き受けた。
 ラフォは男遊びが絶えない母親に愛想を尽かし、闘鶏に明け暮れていた。
 こうしてマイクとラフォの旅が始まった。リタの手下たちが二人の後を追った。旅の中でラフォは、ハワードの依頼が親子の情からだけでないことを知る。息子を手中にすることでリタの財産に狙いを定めていたのだ。悩むラフォに、マイクは本当のマッチョとは運命から逃げないことだと諭す。

 マイクはラフォをハワードのもとに届けた後、一つの選択をする。果たしてこれは「マッチョとは何か」の答えになるのだろうか。
 賛否はあろうが、私はこのオチが嫌いではない。少なくとも「これが人生というもの」といえるからだ。
 2021年、アメリカ。監督クリント・イーストウッド。


暗いマッチョ.jpg


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