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アメリカン・マッチョな逃走劇~映画「マークスマン」 [映画時評]

アメリカン・マッチョな逃走劇~映画「マークスマン」


 マークスマンは米軍で射撃の名手に贈られる称号。ちなみにスナイパーは狙撃の任務を担う兵士(人)を指し、射撃の技量の評価であるマークスマンとは意味合いが違う。
 アリゾナで農場を営むジム・ハンソン(リーアム・ニーソン)はかつてベトナム戦線に2度赴き、海兵隊で射撃の名手として鳴らした。今は妻に先立たれ農場経営も傾き、借金が返せず土地は競売寸前だった。彼の農場にローサ(テレサ・ルイス)とミゲル(ジェイコブ・ペレス)母子がメキシコとの国境を越えて逃げ込んできた。ローサの兄はメキシコの麻薬組織にいたが、裏切りがばれて殺された。そのためローサとミゲルも逃走を余儀なくされた。
 追っ手のマリウシオ(ファン・バブロ・ラバ)は狂暴で知られた。彼のグループとジムは銃撃戦になり、ローサは死んでしまう。多額のカネをジムに渡し、シカゴの親戚のもとへミゲルを届けてほしいと言い残して。
 ジムの娘サラ(キャサリン・ウィニック)は警官をしていた。ジムの身を案じて再三、ミゲルを警察に渡すよう求めたが母親との約束があるとジムは聞き入れず、オクラホマ、アーカンソーを越えてミゲルとの逃走の旅を続けた…。

 ストーリーの骨格はこれだけである。狂暴な追っ手たちと老いぼれたジム、11歳のミゲルとの追いつ追われつ。それを見守るサラ。ジムがただの老人であれば勝負は簡単についただろうが、ベトナム戦線のつわものである。いったん引き受けたものは意地でもやりとげる。公権力が救いの手を差し伸べてもはねつけるという、かつてのイーストウッド映画を観るような展開。そういえばジムとミゲルがモーテルに宿泊した時、テレビ画面がイーストウッドのドラマを映していた。警官の制服を着ていたから「ダーティーハリー」だったか。
 全編、武骨なカントリーウェスタンが流れてくるような、いかにもアメリカン・マッチョな作品だ。
 監督はロバート・ロレンツ。「マディソン郡の橋」でイーストウッドの助監督を務めて以来、プロデューサーや監督として関係が深い。道理でイーストウッドの「体臭」があちこちでしているはずだ。2021年、アメリカ。


マークスマン.jpg


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BUN

このての映画好いいですね。主に見るのは、女性が破格に強いやつ。復讐、SFもいいね。
by BUN (2022-01-10 22:36) 

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