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破滅的人生を歩む女性刑事~映画「ストレイ・ドッグ」 [映画時評]

破滅的人生を歩む女性刑事~
映画「ストレイ・ドッグ」

 かつての潜入捜査失敗で心にわだかまりを持つ女性刑事が、事件後逃走した男が帰ってきたのを機に決着をつける物語。こういってしまうと簡単なストーリーに見えるが、過去と現在が入り組み、娘ペトラ(タチアナ・マズラニー)との滞る対話がエピソードとして挟まり、それぞれに繊細な心理が絡まる。とても複雑な作品である。なにより、ニコール・キッドマンの汚れっぷりがすごい。

 ロサンゼルス市警のエリン刑事(ニコール・キッドマン)は、二日酔いでフラフラになりながら殺人現場に現れた。そこには一人の男の射殺体と、製造番号のない拳銃、紫色の塗料のついた紙幣があった。おそらく、強奪された被害機関が、使用を防ぐため付着させたのだろう。居合わせた同僚刑事に、エリンは「犯人を知っている」とつぶやく。
 ある日、署に戻ったエリンに郵便物が届いていた。中には殺人現場と同じ紫色の塗料がついた紙幣が入っていた。あの男が帰ってきたとエリンは直感した。
 17年前、ある犯罪組織をつぶすため、エリンとFBI捜査官クリン(セバスチャン・スタン)は潜入捜査を命じられた。銀行強盗の一味として加わった2人は犯行を食い止めようとするが、主犯のサイラス(トビー・ケベル)は女性行員とともに身分を明かしたクリスを射殺する。パニック状態のまま犯人と逃亡したエリスは、途中で車を壁に激突させ、気を失った犯人の1人をしり目に現金を近くのゴミ箱に放り込み、捜査に復帰した。サイラスは行方知れずとなった…。
 冒頭の射殺体は誰だったのか。誰が撃ったのか。結末で明らかになる。

 原題は「Destroyer」だが、珍しく邦題「ストレイ・ドッグ」(野良犬)がいい。昔の失敗を心に病み、酒におぼれ、娘に疎んじられ、夫に逃げられ、という破滅的人生を歩む生き様が表れている。「野良犬」といえば黒澤明、三船敏郎コンビの名作があるが、ひりひりしたニヒリズムは共通する。冒頭シーンはC・イーストウッドの「ダーティー・ハリー」を思わせる雰囲気を持つ。ただし内容的に欲張りすぎた感があり、その辺からくる分かりにくさが、賛否両論を呼びそうだ。
 2018年、米国。

野良犬.jpg


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