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ボサノバの神の実像を追う~映画「ジョアン・ジルベルトを探して」 [映画時評]

ボサノバの神の実像を追う~
映画「ジョアン・ジルベルトを探して」

 

 ジョアン・ジルベルト。今年7月に亡くなった。アントニオ・カルロス・ジョビンらとともにボサノバの始祖といわれる。特にジルベルトはボサノバの神ともされ、カリスマ的な色彩が強い。ギターとその声だけでボサノバの透明な音楽性を作り出したことが大きいのだが、それ以上に、滅多に人との関係を持たない彼のキャラクターに由来しているのかもしれない。

 事実、2008年のコンサート(出身地バイーヤで開かれた)を最後に、没するまでほぼ10年間、特定の少数を例外として人との交流を断った。ホテルにこもり作曲に専念していたという。

 そうした彼の実像に迫ったのがドイツ人ジャーナリスト、マーク・フィッシャーだった。執念は実らずジルベルトに会うことはできなかったが死後、未完の記録「オバララ ジョアン・ジルベルトを探して」が出版された。その本を手にしたフランス人監督ジョルジュ・ガショが遺志を継ぎ、ジルベルトを追ったのがこの映画である。

 全編「オバララ」や「想いあふれて」が流れ、ブラジルの美しい風景が展開する。ボサノバと映像の一体化だ。そしてジルベルトの透明な歌声。彼を知るミュージシャンやマネジャーに会い、ついにジルベルトが滞在するホテルを突き止める。会って、彼の肉声による「オバララ」を聞きたいと伝える。願いはかなうのか…。

 ジルベルトのボサノバが浴室の一角、便器の上で生まれたとか、マークが通訳との関係をシャーロック・ホームズとワトソンの関係に擬したとか、周辺のエピソードも面白い。

 2018年、スイス、ドイツ、フランス合作。

 

ジルベルト.jpg


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