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ひょっとすると戦後政治の転換点~社会時評 [社会時評]

ひょっとすると戦後政治の転換点~社会時評

 

社共リベラルは生き残れるか

A)予想を上回るスピードで政局の歯車が回り始めた。

B)民進党の前原誠司代表が9月28日の両院議員総会で希望の党(小池百合子代表)への合流を提案、最終的に了承された。民進党は事実上の解党となり、結党20年の歴史に終止符を打つ。

C)前原代表は両院総会で「丸ごと合流」を言っていたが、希望の党側から発信されるメッセージはそんなものではない。29日朝に行われた前原氏との会談の後の小池コメントも、「全員受け入れるつもりはさらさらない」とか「しっかり絞り込みをさせていただく」とか、かなり厳しいものだった。

B)民進党(民主党)が結党以来抱えてきた社民勢力と保守勢力の亀裂をそのまま引き継ぐことへの警戒感の表れだろう。それにしても、査定をされる側の民進党議員にとっては韓信の股くぐりをさせられる思いだろう。

A)民進党は、小選挙区下での2大政党制を想定してできた政党だ。政権交代を意図する以上は、保守も含めたウイングを持たなければならないが、社民リベラル勢力を抱えていては保守まで含めたウイングは持ちにくい。

B)そういうかたちで社民リベラルが切り捨てられると、これまで築いた野党共闘や市民運動との連帯も無に帰す。

C)日本が小選挙区制=2大政党制を選択した時点で、今の状況は想定された。保守2党論も随分前からあった。いま向かおうとしているのは、そうした方向だ。

B)それはいいことなのか。

C)いいか悪いかは判断が難しい。ただ、戦後築かれてきた護憲主義・平和主義の流れが重大な危機にあることは確かだ。

A)「護憲と平和」は市民の間に一定の広がりがあり、これを断ち切るとすれば問題ではある。しかし、これに対する一定のシンパシーを維持しながら民進党を存続させたとしても、党は「座して死を待つ」形になるだろう。それはここまでの動きを見ても容易に分かる。

B)ただ、地域によっては民進+共産が自民に対する脅威になってきている。

C)戦後政治の中で社民+共産路線が得票数や議席数で占めてきた比率は、おたかさんブームのような例外を除けばよくて3割ぐらいだ。その3割が自民党の改憲を止めてきたわけだが、小選挙区では投票数の過半数を取らなければ議席にならない。こうした選挙制度のもとで闘おうとすれば、従来の社民路線にプラスアルファの勢力が必要になる。こうしてできた民進党には、必然的に寄せ集めの批判がついて回った。

A)二つの保守と社民+共産路線という3分割の政治地図は可能ではないか。

B)そうすると、常に連立政権になり政治が不安定化する。保守は元々権力追求の集団だから保守は一つでいいという議論になる。55年体制もそうしてできた。

 

だれがシナリオを書いているか

A)希望の党は200人を超す候補を立てるようだ。

B)前回、単純過半数は難しいだろうと予測したが、希望の党としては一気に政権奪取を狙うつもりなのか。

C)その辺はまだ見極めがつかない。いずれにしても、今後の世論調査で流れは見えてくるだろう。それが小池出馬か否かにも関わってくる。

A)小池百合子、前原誠司と旧日本新党のメンバーが前面に出ている。あの時の非自民、非共産連立政権では小沢一郎氏がかなり動いたが、今回は前面に出ていない。

B)民進党内に小沢アレルギーが強い。小沢氏が動いていることが明るみに出れば前原提案もつぶれていたかもしれない。そうした懸念もあって、表面に出ないよう気を遣っているのではないか。小池氏もかつては一緒にやったが今回は小沢氏が表面に出ないほうがいいと思っているだろう。

C)しかし、小沢氏は深層部で動いているのではないか。これだけのシナリオを小池・前原で書いたとは思えない。かつて新進党結成の時、公明は参院だけ党名を残した。今回も、目的は違うが民進党が同じ手法を使った。これを見た時、小沢氏の影を実感した。連合が絡んできたのも小沢氏の動きかもしれない。

A)そうだとすれば、公明もどちらに行くか分からない。今は自公で連携しているが。小沢氏は昔から公明とパイプがある。

B)小沢氏と小泉純一郎・元首相は不倶戴天の仲だ。小泉氏が小池さんとの会談の後、選挙には一切かかわらないと明言した。これも小沢氏の影を実感させる。

C)もともと、安倍自民党と公明は政策面でぎくしゃくしている。安保関連法とか憲法問題とか。小池さん自身は極右的な体質だが、結党の際に表明したような改革主義的な保守、その上に中道主義的な路線を取ると明らかにすれば、公明だって乗るかもしれない。そうすると、首相は山口那津男さん(公明代表)がいいといったのは単なるリップサービスではなかったことになる。

 

55年体制を引きずる自民

A)選挙結果によっては自民党が割れることだってありうる。民進党解党で政界再編は終わらないのでは。そうすると、2017年は戦後史の一大転換点になるかもしれない。

B)なんだかんだ言いながら、自民党は冷戦終結後も55年体制の体質を引きずっている。そこに終止符を打つとすれば、その意味は大きい。過度な対米追随路線とか、アジアをにらんだ独自の外交政策がないとか、問題は多い。そもそも、安倍や麻生といった戦後政治家の系譜を引きずる人が今の政治を担っているのがいかがなものか。小池さんの言う「しがらみのない政治」は、そうしたことへの批判に聞こえる。「原発ゼロ」も実は来年満期を迎える日米原子力協定をどうするかが絡んでくる。

C)そこまでいけば、社共路線=平和主義・護憲主義も大きな転換点にさらされるだろう。

A)ただ、下世話な話をすれば、ここまでの小池さんの動きを見るとかなり権力主義的な傾向が見える。そこがケンカ師、ギャンブラーとしての面目躍如かもしれないが、安倍首相の後に同じような強権政治が出現するとなると、気が重くなる。


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BUN

もともと、民進党は嘘つき集団なので、現行のままでは先はない。解党しか生きる道はない。名を捨て実を取る。立派な言い分だが、現実には道がひらけるかどうか。目くらまし奥の手、いいじゃない。
そもそも、小選挙区では選ぶ候補はない。全国区にしてもらえば、選ぶ人もあるかもしれない。
ただ、東京都知事、まだ見えてこない。
by BUN (2017-09-29 23:27) 

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