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品格ない政治を憂う~社会時評 [社会時評]

品格ない政治を憂う~社会時評

 

「解散の大義」論争

A)にわかに解散・総選挙の話が出てきた。これに対して野党からは解散の大義がない、解散権の乱用だとの批判がある。与党内の一部からも批判が出ている。

B)安倍晋三首相の場合、いつもそうだが何のための解散なのか分からない。だからそういう批判が出る。

C)強いていえば、解散の理由は党利党略、つまり今が一番の好機だからということ。官邸寄りで知られるテレビコメンテーターのT氏は「党利党略で解散するのは当たり前」といっている。

A)そうすると、いつものことだが政治の「あるべき」姿と「現にある」姿の話になる。現実がそうなんだから仕方ないじゃないの?となる。かわいそうなのは国民だ。国民置いてきぼりの選挙が肯定され、まかり通る。

B)選挙は国民が政治にモノ申せる大きな機会なのだから、そういう場が提供されることは否定できない。

C)いや、それは少し違う。誰もが分かっているが、今は野党の体制が整っていない。つまり、国民には選択肢が与えられていない。選択肢がない状態で選択を迫られるのは国民にとって不幸なことだ。衆院の任期は4年と決まっているので、任期を全うした後で選挙をやっても不都合はない。

A)それでは政権が死に体になる…。

C)その発想こそおかしい。相手の窮地に付け込んで政権維持のために選挙をするのか。それではケンカ上等の理屈になる。もっと高いところを見た政局運営はできないのか。
A)こんな時、いつも出てくるのが「衆院は常在戦場」という言葉だ。

C)それで衆院議員は何をしているか。浮足立って地元の選挙区回りをしているだけ。小選挙区だと東京の区議会議員より狭いエリアを回っている。こんなことでまともに国政が担えるのだろうか。もっとじっくり国政と取り組める体制を目指すべきだ。

B)先日、あるテレビで相撲好きのコメンテーターが今回の解散論議を評して「横綱が立ち合いで変化するようなもの。正々堂々と受け止めて横綱相撲はできないものか」といっていた。

C)別段ルールで禁止されているわけではないが、横綱の品格の問題としてどうなの、ということだ。

A)安倍首相は保守政治家として疑問点も多いし、横綱に例えるのはどうも…

B)一応、国会で選ばれた行政のトップということで例えただけ。政治家、人間性への評価ではない。

 

7条解散」とは何か

A)解散権の根拠としてよく持ち出されるのが憲法7条と69条。7条は内閣の助言と承認により天皇が国事行為の一つとして衆院を解散できるとある。69条は衆院で不信任案が可決された場合、解散によって国民に信を問えるとある。7条によって内閣はいつでも解散権が行使できると解釈されている。

B)憲法7条によって内閣はフリーハンドで衆院を解散できると解するなら、もともと69条で断る必要はない。69条解散が本来の解散で、7条は天皇の国事行為という側面から解散権の存在を確認しただけではないか。

C)その通りだろう。しかし、いつしか7条と69条は別個の解散規定と解釈され、戦後ずっとそれが認められてきた。首相という政治権力のトップにとって解散権は絶大な権利だから、拡大解釈はされても解釈を狭めることはもうないだろう。頼りは司法判断だが、統治行為論で逃げるだろう。

A)小選挙区制の導入によって近年、官邸や自民党総裁の権限の肥大化が言われている。こうした状況のもとではむしろ首相権限の縮小が唱えられるべきで、その意味でも解散権は制約があったほうがいい。

B)英国議会には2011年に導入した任期固定化法がある。5年ごとの下院の選挙期日を定めたもので、この日程を変えるには、内閣不信任が成立した場合と下院の3分の2の賛成があった場合だけ。ここまで縛ると、議院内閣制の下での議会と行政の緊張関係がなくなるとの説もあるが、そもそも今の衆院は内閣に牛耳られており、行政が立法を支配する独裁体制に近くなっている。そういう意味では英国並みの解散権の縛りがあってもいい

C)しかし、英国のような解散権を縛る法律ができるかといえば、日本では現実的に難しい。期待しても無駄かもしれないが、結局は首相の政治哲学、思想の品格に頼るしかない。

 

北朝鮮と選挙

A)国連でトランプ大統領や安倍首相が強硬な北朝鮮批判を展開し、北朝鮮をめぐる関係は極度に緊張している。なにもこんな時に選挙をやらなくても、という声もある。

B)それに対して官邸は、これからもっと関係は緊張するから今選挙をするんだといっているようだ。

C)本当かな。今より緊張するといえば戦争しかない。

B)先ほどもあったように、せっかくある解散権を行使しないと政権の求心力が保てないという判断もあるようだが、それは国民無視の議論だ。戦争になってしまえば日本国内にもミサイルが飛んでくるかもしれない。そんな崖っぷちの局面で何が選挙だろうか。北朝鮮情勢に鑑みて、解散権を自ら封じるぐらいの政治判断があってもいい。それなら国民は納得する。求心力は落ちるどころか上がる。おっと、安倍政権の延命に加担することもないか。

A)それにしても、トランプ大統領(現地時間919日)と安倍首相(同20日)の国連演説は危うい。出口を見出すというよりふさいでいくような内容だ。これだけ危機をあおって、国内では消費税の使い道をめぐって選挙ですといえば、他国はどう理解するのだろうか。

B)平和ボケ極まれり、だ。

A)野党が要求した臨時国会召集も、冒頭解散では全く意味を持たない。どうみてもこれは憲法違反だし、森友・加計問題で丁寧に説明するとか、8月に大急ぎで内閣を改造したのも何だったのか。すべて世論調査の支持率にらみの行動だったとしか受け取れない。一体いつまで国民はなめられるのか。

 


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