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緻密な筋立てが楽しい~映画「ヘイトフルエイト [映画時評]

緻密な筋立てが楽しい~映画「ヘイトフルエイト」

 

 タランティーノである。南北戦争から10年、舞台はワイオミング。冒頭から雪原を走る馬車が何やらおどろどろしい。そこへ、北軍の騎兵隊崩れの賞金稼ぎマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が現れる。連れているのは、お尋ね者3人の凍った屍体。馬車にはやはり、賞金稼ぎの男ジョン・ルース(カート・ラッセル)と、手錠をはめられ縛り首になるのを待つ女デイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。これでもか、と荒くれウェスタンのテイストが画面いっぱいに広がる。

 しかし、ストーリーの展開は西部劇一般とはやや異なる。偶然馬車に乗り合わせた4人(後で一人、保安官に着任途中に馬がつぶれた男クリス・マニックス=ウォルトン・ゴギンズ=が加わる)は、目的地レッドロックの手前にあるミニーの店に向かう。とりあえず、この猛吹雪をしのがなければならない。しかし、ミニーは不在で、そこには一癖ありそうな4人の男がいた。わけありげな8人の男女の、不自然な滞留が始まる。そして、それぞれの嘘が一つずつばらされていく。なぜ、彼らはこの猛吹雪の中、こんな山中の小屋に集まったのか。

 あとは、計算されたセリフ回しが、観る者を引き付ける。タランティーノらしい過剰な演出が各所に見られるが、それにもまして緻密な筋立てが楽しい。途中でいったん、ミステリーのなぞ解きがあるが、それが見る者の興味をそぐことはない。

ヘイト8.jpg


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