自衛官「戦死」が現実の問題に~濫読日記 [濫読日記]
自衛官「戦死」が現実の問題に~濫読日記
「日本は戦争をするのか ――集団的自衛権と自衛隊」(半田滋著)
「日本は戦争をするのか 集団的自衛権と自衛隊」は岩波新書、740円(税別)。半田滋氏は1955年、栃木県生まれ。下野新聞社を経て1991年に中日新聞社。2007年から東京新聞編集委員。11年から論説委員兼務。 |
著者は東京新聞編集委員兼論説委員。日本の防衛問題を専門とするジャーナリストの第一人者である。防衛を政治・外交面からより、自衛隊の現場から見る論者である。
だから、集団的自衛権と自衛隊の問題では、こんな観点を提示する。自衛官の「戦死」の問題である。著者はまず、憲法九条を「自衛官の生命維持装置」と見る。九条が有効に機能している限り自衛官は戦場には行かず、戦死もない。これまでのイラク派遣などを見ても明らかである。
九条が空分化したとたん、自衛官の戦死の問題が現実のものとなる。イラク派遣までは戦死は想定外で「訓練時の死」扱いだった。ただ、国から支払われるカネは計1億円にアップしたという。では、戦死はどう扱われるか。米兵の場合、戦死者はアーリントン墓地に埋葬されるが、自衛官の場合は。靖国に祀るとなれば、政治問題化は必至だろう。
興味深いのは、世界で集団的自衛権の行使を名目に始めた戦争で勝った国がないことだ。米国のベトナム戦争もそうだ。兵士は全く他国のために戦うのだから当然の結果なのかもしれない。
「集団的自衛権」が大国の論理であることが、こうした側面からも分かる。
2014-08-10 14:55
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