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あまりにも映画的~映画「グランド・ブダペスト・ホテル」 [映画時評]

あまりにも映画的~映画「グランド・ブダペスト・ホテル」

 いかにもヨーロッパの映画だ。舞台は、格式があって、でも今はうらぶれた山上のホテル。東ヨーロッパの国らしいが、特定されてはいない。一応、ズブロフスカ共和国と名付けられている(類推されるのはオーストリア=ハンガリー帝国だが…)。時代は、語り手の謎めいた老人が現れる1960年代と、回想シーンが連なる1932年の入れ子構造。

 ホテルを訪れた作家に、ホテルのオーナーである老人は、なぜこの名門ホテルを手に入れたかを語りはじめる…。

 1932年といえば、ナチスドイツがヨーロッパを席巻し始めたころ。時代に暗雲が漂い始めたときに、ホテルのカリスマ・コンシェルジュと呼ばれたグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)に、上得意である富豪の老婦人の死が伝えられる。彼女のもとへ駆けつけたグスタヴには、その婦人殺害の嫌疑がかけられる。その後は、収容所を脱獄したグスタヴと彼を慕うロビーボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)とのハチャメチャな逃走劇―。ミステリーのようでコメディーのようで、不思議なタッチだ。

 映像が雄弁である。あまりにも映画的な映画。そしてヨーロッパ味がピリッときいている。監督はウェス・アンダーソン。三つの年代に合わせてフィルムサイズを変えるという凝りようである。

 ブダペスト.jpg

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