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アメリカの落日を映す~映画「ホワイトハウス・ダウン」 [映画時評]

アメリカの落日を映す~映画「ホワイトハウス・ダウン」


 「シリア」で、オバマ大統領の苦悶の色が深まっている。西部の保安官気取りでイラク戦争を仕掛けたブッシュ・ジュニアのようなのも困りものだが、オバマの優柔不断はまぎれもなく、アメリカ「帝国」の落日の今日的状況を映し出している。

 この夏「エンドオブホワイトハウス」「ホワイトハウス・ダウン」と、2作のホワイトハウスが陥落する映画が公開された。これもまた、アメリカの「落日」を象徴していると思っていいだろう。少し前までは、予想もつかないか、あるいは映画化されてもあまりにも現実離れしていると思われたストーリーが、それほど不自然でなく語られてしまう状況が生まれつつあるということだ。

 そんな中で「エンドオブホワイトハウス」は粗雑なストーリーと作りでがっかりしたが、この「ホワイトハウス・ダウン」は、それより数段優れている。

 理由は二つある。一つは、最初からエンディングが見通せる筋書きになっていないこと。二つ目は、少女をヒロインにした設定が、それほど無理筋ではなく、比較的自然に見えること。

 初めから「終わり方」が見えてしまうとタダの活劇になってしまう。「エンドオブホワイトハウス」がそうだった。その傾向は回避されていた。そのうえで、破壊シーンに定評があるローランド・エメリッヒ監督だから、映画としては優れた水準にあるのではないか。

 といっても、「ホワイトハウス陥落」という設定が先行しすぎて、ストーリーにやや無理が生じているのはやむを得ないところだろうか(奥歯に物が挟まったような言い方だが、書いてしまうと筋書きがわかってしまう)。いくら「落日のアメリカ」といっても、ホワイトハウスはなお世界でもっとも攻撃しにくいポイントであることには違いないからだ。

 それと、これもないものねだりだが、オバマに似せた大統領(ジェイミー・フォックス)はやや軽い。でも、まあ仕方ないか。「クレイジー・ハート」のマギー・ギレンホールはよかったけど、今回も大統領警護官を演じて、そこそこいいですね。映画全体は、私の物差しでは5点満点の4点ぐらいです。

 ホワイトハウス・ダウン.jpg

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