小品だがずしりと来る~映画「トロッコ」 [映画時評]
小品だがずしりと来る~映画「トロッコ」 |
そんな2人の子は森の中に、今も動くトロッコを見つける。近くに住む青年と、森の中をどこまでもトロッコを押していく。夢かと思える幻想的で美しいシーン。しかし帰らぬ2人に母は心を乱す。夕暮れて泣きながら帰ってきた子供たちを、母はどう迎えるか。
母は2人の子を連れて台湾に住む決意を話す。しかし祖父は「もう十分だから日本に帰りなさい」とさとす。
戦争責任を追及するばかりではない、台湾の人たちの複雑な日本への思い。挫折感を心に宿してなお生きていこうとする母。いくつもの壁を乗り越えるすべは、ただそれぞれの誠実さだけではないかと思えるストーリーの展開は、監督・脚本を担当した川口浩史の優しい視線を感じさせる。
声高ではないが、心のどこかにずしりと来る映画である。
2010-08-04 18:35
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