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民主も自民も党を割るべきだ [社会時評]

民主も自民も党を割るべきだ 

*「一人勝ち」を許さぬ世界

*「帝国」はいずれ自壊する

*「巨人」になりすぎた民主

*「どっちもどっち」だが…

*政界再編を起こすしかない

 
 つくづく「一人勝ち」を許さない世界だと思う。トヨタ、朝青竜しかり。「出る杭は打たれる」で収まらないバッシングの嵐。衆院で310議席をとった民主党もまた。その背後にいる小沢一郎幹事長も同様だ。考えてみれば今の時代「一人勝ち」の最たるものは米国だ。戦後しばらくソ連と「二強」だったが、1990年代にソ連・東欧圏が崩壊すると下り坂を転がり始めた。トヨタはGMに追い付け追い越せ、朝青竜は、横綱という頂点を目指して精進した。民主は自民からの政権奪取を掲げてやってきた。いずれも目標達成と同時にピークを過ぎてしまった。冷戦後の米国をフランシス・フクヤマは「歴史の終わり」と見通したが、明らかな誤りだった。冷戦の幕引きは「永遠のアメリカ」の始まりではなく「ポスト・アメリカ」という新たな歴史の始まりにすぎなかったのである。ローマにとどまらず、帝国は頂点に達した途端に崩壊を始める、という歴史の真実が繰り返される。

民主は「政権交代」を成し遂げたことで歴史的使命を終わったのではないか、と思い始めている。そのことを痛感させたのが党幹部解任劇だ。

3月19日付朝日新聞によると、民主は「小沢さんが不起訴になったから全部シロとは思っていない」「北海道教職員組合の問題は、これも一番上は輿石東さん」と執行部批判をした生方幸夫副幹事長を18日に解任した。高嶋良充筆頭副幹事長は、自発的な辞任を求めたが拒否されたと語った。高嶋によると、解任を伝えられた小沢は「円満に解決できないのか」と言ったが、最終的に「任せる」とした、という。

この話、政治家としての損得勘定で考えれば分かりやすい。得をしたのは生方で、損をしたのは小沢、高嶋だ。それが分かったから小沢は「解任」を渋ったのだろう。生方が「確信犯」として産経新聞インタビューで執行部批判をしたとすれば、民主もまだ捨てたものではない。今の民主は明らかに異種混合で成り立っている。意識的にそのことをあぶりだす力が党内にあるとすれば…ということだ。それならそれで、もっと強固な「小沢包囲網」をつくればいい。党幹部が党外でさまざまな声を上げると規律が持たない、と首相は発言したようだが、次元が異なっている。政治力学と党組織論の話である。巨人になりすぎた民主は自壊の道を進むか、自ら律して「腑分け」をするか。

対岸の自民も、組織に亀裂が入る。鳩山邦夫元総務相、与謝野馨元財務相、舛添要一前厚労相が相次いで「新党」を口にした。情けないのは、それぞれ政局への思惑が透けて見えることだ。言いかえれば自民から民主へという政権交代の意味を軽く見すぎている。谷垣禎一総裁のリーダーシップ欠如や支持率低迷が問題なのではないのだ。新党を旗揚げするなら「第三極」などという生ぬるさではなく、民主に手を突っ込むことを考えるべきだ。与謝野と小沢は「財政再建=消費税」で手を組むのか、舛添と非小沢系は脱・霞が関で結ぶのか、という話だ。それを見据えない新党論争は不毛と言うほかない。国民に人気がある舛添と政策に強い与謝野を結びつけたい、という鳩山は論外だ。「またいつものお騒がせ」とひんしゅくを買うだけだろう。

最近の政情を、2人の新聞コラムニストが書いている。筆の温度がまるで違うのが面白い。3月13日付毎日「近聞遠見」。岩見隆夫は「屈折した政情である」と書き始め「民主迷走、自民不振の閉塞感」と現状を指摘する。20日付朝日「政態拝見」。星浩は政界再編の行方を問われ「大きな再編は起きません」「鳩山新党は広がりません」と答えたと書く。星の論の根拠は明らかで、小選挙区制にある。この制度で民主、自民に拮抗する勢力を新たに生みだすのは不可能に近い。だからと言って「2人のリーダー。反転攻勢に成功したほうが生き残る」というのも迫力を欠く。

ではどうするか。2人の筆致のわずかな共通点。それはマグマのようにたまっている巨大な政治不信の現実だ。このマグマの力を信じて自民も民主も割る。今必要なのはその覚悟ではないか。自民への回帰はもはや許されない。一方の民主は首相と幹事長の手によって間違いなく衰亡の道をたどり始めたのだから。

 
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